ASEANのデザイナーズブランドが気になっています。ここ数年、セレクトショップやショールームでもよく見かけるようになりました。特にタイ、インドネシアやシンガポールのブランドが日本で販路を拡大しています。
個人的意見ですが、ASEANデザイナーズは「キャッチーな色柄がかわいくて、刺しゅうなどの職人技術が優れていて、価格もお手頃」と三拍子そろっているのが特徴だと思います。
業界では「ASEANは暑い国が多いから、秋冬は作れない」という声を聞くことがありますが、それは少しづつ変わってきていると感じます。確かに日本の真冬に耐えられる服は少ないですが、日本は数年来暖冬傾向。昨年の10月は最高気温が30度を超えている日もありました。そんな暑い秋に必須になるのがASEANデザイナーたちが得意としている中間アウターや軽い羽織、秋色夏素材の服。しかも、今巷では「ザラ(ZARA)」をはじめ、刺しゅうアイテムがヒットしていると耳にしますが、そんな伝統技術の刺しゅうを使ったアイテムを得意にするのがASEANデザイナーたちです。
先日、ファッションプレスのH3Oのショールームに取材に行った際、タイのベテランブランド「クローセット(KLOSET)」の創業者モリーカ・ルアンクリタとスタイリング・ディレクターのレックスに会いました。「クローセット」は16年目のブランドで、日本でも伊勢丹新宿本店やクレオパトラ、ハニーミーハニー、パメオ ポーズなどで取り扱いがあります。地元のバンコクには5つも直営店を構えています。
大胆なビーズ刺しゅうや華やかなプリントが、「グッチ(GUCCI)」のアレッサンドロ・ミケーレ(Alessandro Michele)が打ち出すオリエンタルで華美なトレンドとリンクします。総刺しゅうのワンピース4万7000円~と、ヨーロッパのインポートと比べると、値ごろ感があります。「クローセット」創業者のモリーカは「ブランド設立当初から意識しているのはビンテージと、モダンファッションのコントラスト。顧客は10~50代までと広く、母と娘の親子が一緒にシェアもできるデザインにこだわっている」と話しました。また、生地や刺しゅう、縫製は全て現地で完結させているそうです。古着からの着想やエイジレスの提案、サステイナブルなモノ作り、まさに今の時代にマッチしていると感じます。