この特集は弊紙「ファッションアイコン」特集(2016年12月26日&2017年1月2日号)での街頭アンケートで、ラフォーレ原宿で出会った中高生の集団がきっかけで生まれた。1人のカリスマより、コミュニティーで愛され共感を呼ぶアイコンが多数存在するという仮説を立て、ラフォーレ原宿や渋谷109、「シュプリーム(SUPREME)」の行列、TSUTAYAオーウェストでのライブ終了後など、各コミュニティーにいる人をターゲットに街頭インタビューを行い、2017人の回答を集めた。だが必ずしも全員にアイコンがいるわけではない。「いない」という回答も多く、実際、声をかけた人数は5倍以上、約1万人に及んだ。その中で分かったことは、アイコンはファッション感度のある程度高い人の中にしか存在しないということ。さらに今の時代は、ファッションに興味のない人が本当に多いという結論に、何ともいたたまれない気持ちになった。そんな中、ラフォーレ原宿で頭の先からツマ先まで、おしゃれに身を包んだ5〜6人の中高生に出会った。彼らのファッションアイコンは、タイラー・ザ・クリエーター(Tyler, the Creator)やリル・ヨッティー(Lil Yachty)、ニッキー・ミナージュ(Nicki Minaj)といったラッパーやミュージシャン。聞けば、ダンスやヒップホップをやっていると言う。憧れのミュージシャンのようになりたくて、そのスタイルを真似ようとファッションを好きになった。彼らは、街頭で声を掛けた1万人以上の中で最もオシャレに気を遣っており、間違いなくファッショニスタだった。若者のファッション離れが危惧されるというのなら、音楽の力を借りて興味を持ってもらうのもいい。そんな役割を担えたらという思いから、企業やブランドの音楽との事例を取り上げた。
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