6月15〜17日にパリで開催されたビバ・テクノロジー・パリ(Viva Technology Paris)で、第1回「LVMHイノベーションアワード」の受賞者が発表され、フランスのスタートアップ企業、ヒューリテック(Heuritech)が受賞した。
トニー・ピンビール(Tony Pinville)=ヒューリテック共同創業者兼最高経営責任者(CEO)によれば、ヒューリテックのAI技術により、ファッション企業はオンライン上のトレンドを検知し、ECサイト運営会社はトレンドに合った最適な商品を提案することができるという。
「われわれの特長は画像分析だ。まずはシンプルなイメージから、スタイルやパターンのような、何百もの正確な特徴を抽出して、SNS上で起こっていることをまとめ、ECサイトがトレンドの商品を供給できるようにする技術を開発した。例えば、今は大ぶりのフリルワンピースがインスタグラムでたくさんのいいねを獲得しているが、われわれの技術でそれを数値化した」とトニーCEOはプレゼンした。
ヒューリテックは2013年に創業し、これまで「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」などのブランドと、ユーザーの嗜好分析など共同で取り組んできた。現在他のパートナーとも試験的にプロジェクトを進めており、より深くユーザーを分析し、技術向上に努めている。今秋そのプロジェクトの完成版をリリースする予定だ。
同社は500以上の候補社の中から抜擢された。トニーCEOは、「フランス国内では少し知られるようになってはきたが、この受賞をきっかけに国際的にも知名度が上がると思う。LVMHグループ、またそれ以外の会社ともビジネスをする大きなチャンスになるだろう」と意気込む。
授賞式では、ベルナール・アルノー(Bernard Arnault)LVMH会長兼CEOとイアン・ロジャース(Ian Rogers)同社最高デジタル責任者が登壇し受賞者を発表した。
LVMHの時価総額は1159億ユーロ(約14兆円)で、フランス株式市場指標となるCAC 40の中でも最大のコングリマリットだ。しかし、アルノー会長は、「今日、私たちはフランス株式市場で1位だが、国際基準ではまだまだだ。われわれはまだスタートアップ企業のようなものであり、今の2〜3倍の時価総額を目指している」とスタートアップ精神を忘れてはいけないことを強調した。
また、同イベントにはエマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)仏大統領も出席し、イノベーションを促進し、起業家に有利な経済を作りたいと演説した。