フランスの81のラグジュアリー企業と文化機関で構成するコルベール委員会は、東京藝術大学と取り組む芸育プロジェクト「2074、夢の世界」の受賞者を発表した。これは、2014年に創立60周年を迎えたコルベール委員会に属する各メンバーが、60年後の明るい未来を描き、5つの言葉と1つのイメージに表現し、それをフランスの6人のSF作家と1人の音楽家が作品化。さらに、その文学作品をもとに50人の東京藝術大学の学生が再解釈して作品を作り、そのコンペティションを行うというものだ。発表された3人は北林加奈子さん、川人綾さん、島田清夏さん。その作品は10月にパリで開催されるコンテンポラリーアートの国際的イベントFIACで展示される。
ギョーム・ド・セーヌ(Guillaume de Seynes)=コルベール委員会会長兼エルメス インターナショナル社長は、「コルベール委員会が目指すミッションのひとつは、未来への基礎を築くこと。私たちはヒューマニストな価値観に基づいた楽観的な未来を描こうと試みており、このプロジェクトはまさにそれを実現したものだ」と話す。さらに日本で取り組んだ理由について「フランス流美しい暮らし方を体現できるところ。フランスのノウハウやクリエイティビティ―を理解している。歴史や工芸にリスペクトがあり、それを大事にしながら未来を見ている。特にテクノロジーの分野は目を見張る。そういった意味でこのプロジェクトの適切な国だと考えた」と説明する。さらに東京藝術大学を選んだ理由は、「2074年を生きる若いアーティストだから。彼によって私たちの“ユートピア”に日本文化という新たな価値を加えていく。二つの文化が向かい合い、フランスと日本の文化的対話が生まれるだろう」とエリザベット・ポンソル・デ・ポルト(Elisabeth Ponsolle des Portes)=コルベール委員会プレジデント兼CEO。
27のメゾンが同大学で選考された若いアーティストの作品製作費として1口20万円、計50口の奨学金を提供した。なお、50組の作品は6月25日まで東京藝術大学大学美術館地下2階で展示されている。