インスタグラムは近々、インフルエンサーがスポンサー関係にあるビジネスの投稿をする際に「XXX(ブランド名)とのタイアップ投稿」という文言を表示する仕組みを試験導入する。ウェブメディアで広告記事に「PR」表記を入れる義務があるように、近年のSNSのビジネス利用の増加を受けて、いわゆるステマ投稿をなくすための動きとみられる。
インスタグラマーは専用のタグ付け機能を使い、ブランドから報酬をもらった投稿に対して“タイアップ投稿タグ”の表示をつけることができる。“タイアップ投稿タグ”表示のついた投稿では、投稿を依頼したブランド側もインフルエンサーの投稿インサイト(分析)画面へアクセスできる。まずは試験導入によってフィードバックを集めることに注力するため、ごく少数のアカウントを対象にツールを提供するが、数カ月以内のサービス拡大を図るという。今回の狙いについて、インスタグラムのポール・ウェブスター(Paul Webster)=アジア太平洋プロダクトマーケティングマネジャーに話を聞いた。
WWDジャパン(以下、WWD):今回の“タイアップ投稿タグ”導入の背景は?
ポール・ウェブスター=アジア太平洋プロダクトマーケティングマネジャー(以下、ウェブスター):インスタグラムでは、コミュニティーにおける透明性を常に重要視してきました。今回の発表の背景には、現在800万を超えるビジネスアカウントがインスタグラムを使用していることがあります。昨年フェイスブックで導入した「ブランドコンテンツに関する取り組み」で得た知見を活かし、インスタグラムでもタイアップ投稿に対する機能を導入するのにふさわしい時期と判断しました。
WWD:インフルエンサーが投稿に“タイアップ投稿タグ”を入れるのは任意か?
ウェブスター:今回はあくまで試験導入として、フィードバックを得ることが目的。現段階でタグ付けするかどうかはクリエイター(インフルエンサー)の裁量にゆだねられます。今回のテストパートナーからのフィードバックを踏まえ、義務付けを含むガイドラインを今後発表する予定です。
WWD: 導入によってSNS市場の何が変わると考えるか?
ウェブスター:今回発表したツールを通じ、ブランドコンテンツの透明性をより明確にしたいと考えています。事前のヒアリングでは、協業関係にあるビジネスパートナーのタグ付けや投稿コンテンツのインサイト閲覧は双方のメリットになるという声がありました。今回はまだ試みの第一歩であり、フィードバックをもとに改良を進めていく段階です。
WWD:広告以外のビジネス利用(投稿の依頼やギフティングなど)について、インスタグラムとしてはどのような見解か。
ウェブスター:クリエイターとビジネスアカウント間の提携は、インスタグラムにおける体験の中で重要な役割を担っています。今回発表した“タイアップ投稿タグ”により、これらの関係性や性質がより明確化され、コミュニティーの利益になると考えています。
WWD:ファッション業界におけるインスタグラムの潮流について、どう見ているか。
ウェブスター:ファッション業界は最も早い段階からインスタグラムを取り入れ、クリエイティブに使いこなしてきたコミュニティーの一つ。先にも述べたように、クリエイターとビジネスアカウント間の提携はインスタグラムというプラットフォームにおいて不可欠な存在であり、それはファッション業界についても同様です。
WWD:今後のSNS活用ビジネスの展望は?
ウェブスター:今回の発表は、インスタグラム上のブランドコンテンツに関する透明性を高めるための第一歩です。利用者とビジネスアカウントにとって最大の価値を生み出せるよう、まずはクリエイターやビジネスアカウントへの周知、フィードバックの収集に注力します。