ソフトバンクは20日、グループ最大規模の法人向けイベント「ソフトバンクワールド2017(SOFTBANK WORLD 2017)」を開幕した。今年のテーマは“情報革命が導く、新たな世界”。基調講演に登壇した孫正義ソフトバンクグループ代表取締役会長兼社長は、「ソフトバンクはジェントリになる」と宣言。孫会長によると、ジェントルマンの語源になったジェントリは、騎士として活躍し土地を与えられ特権階級となり、社会貢献のために資金を提供。新しい技術の発明と重なって産業革命を起こしたという。ソフトバンクは今年、サウジアラビアなどと共同で、10兆円規模の投資ファンド「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」を発足している。「情報革命は人々が想像できなかった世界にまでわれわれを導いてくれる」「新しいジェントリとしてリスクを持って資金を提供し、最先端技術の進化を加速する。同志、同じ思いを持つアントレプレナーと一緒に、情報革命をけん引し、人類に最も貢献する企業を目指す」と述べた。
ステージでは、ソフトバンクが投資した企業のトップたちを次々と紹介。スマートフォンのチップの99%のシェアを持ち、IoT(モノのインターネット化)時代のビッグデータの覇者になると言われるアームのサイモン・シガーズ(Simon Segars)最高経営責任者(CEO)や、ボストンダイナミクスのマーク・レイバート(Marc Raibert)CEO兼創設者などが事業内容の説明やビジョンを語り、最新ロボットの披露などを行った。
イベント2日目となる21日の基調講演には、米国発でシェアオフィス事業を行うウィーワーク(WeWork)のミゲル・マケルヴィ(Miguel McKelvey)共同設立者兼チーフ・クリエイティブ・オフィサーも登壇する。3Dレーザースキャナーを使用したした空間設計など、デジタルを活用したクリエイティブなオフィス環境をスピーディーに量産することが可能で、2010年の創業から7年で、世界16カ国・45都市・149カ所にオフィスを展開し、12万人の会員を有している。ソフトバンクグループは3月に3億ドル(約342億円)を出資したのに続き、今月17日には、ウィーワーク(WeWork)と50%ずつ折半出資し、合弁会社WeWork Japan(ウィーワーク ジャパン)を設立すると発表。来年初めをめどに東京に日本1号案件となるコーワーキングスペースを開設する予定だ。
展示会場では、約80の協賛企業がIoTやAI、クラウド、ロボット、働き方改革などについて、オープンセミナーやデモンストレーションなどによって新たなビジネススタイルを紹介する。ファッション関連では、“Watson Tone Analyzer”によってツイート内の感情を分析し、喜び、開放感、穏やかさ、人間性、外光性などに応じてLEDライトの光や色で感情を表現する、IBMの“コグニティブ・ドレス”が注目を集めている。