ファッション

「目指すは最高にイケてるカットソー」 話題の“ラグスト”ブランド、「ヘロン・プレストン」デザイナーを直撃

 元ナイキ(NIKE)のグローバルデジタルプロデューサーで、カニエ・ウェスト(Kanye West)のクリエイティブコンサルタントを務めるなど、ストリートシーンで影の実力者として名を馳せてきた人物が、ヘロン・プレストン(Heron Preston)だ。自身の名を冠した「ヘロン・プレストン」は2017-18年秋冬コレクションでデビューするやいなや、ラグジュアリーとストリート(=ラグスト)、ファッションとワークウエアの境界線を越えたスタイルとして話題となり、モデルのケンダル・ジェンナー(Kendall Jenner)やラッパーのトラヴィス・スコット(Travis Scott)らセレブがこぞって着用。2シーズン目では「オフ-ホワイト c/o ヴァージル アブロー(OFF-WHITE c/o VIRGIL ABLOH以下、オフ-ホワイト)」とコラボし、世界中のストリートシーンを席巻している。デビューコレクションの立ち上げを記念し、ラフォーレ原宿内のセレクトショップ、グレイト(GR8)で6日まで、ポップアップをオープン。オープンに合わせて初来日したヘロンに立ち上げの経緯や、こだわり、ラグジュアリーとストリートの関係性について話を聞いた。

WWDジャパン(以下、WWD):ブランドを立ち上げる前は何を?

ヘロン:サンフランシスコのストリート周りのみんなが普通にスケートボードをやっていて、スケートボードカルチャーが当然の環境で育ったんだ。「シュプリーム(SUPREME)」のリッキー・サイズ(Ricky Saiz)とか「ハフ(HUF)」の創業者のキース・ハフナゲル(Keith Hufnagel)、「ノー・ウェーブ(KNOW WAVE)」のエーロン・ボンダロフ(Aaron Bondaroff)も友人で、ストリートウエアが当たり前だった。その中で、自分でジン(ZINE)やTシャツを作るのは自然の流れだったんだ。

それで、10年くらい前からプリントTシャツを作っていたんだけど、それを続けていくうちにだんだんとプロジェクトみたいに大きくなっていって。ある日ヴァージル・アブロー(Virgil Abloh)に「次のTシャツはこれなんだけど、どう?」と意見を求めたら「Tシャツだけでいいの?それだけじゃつまらないよ。ハットだったり、ソックスだったり、スエット、ジャケットも作ったほうがいい」と言われたのが、数年前。それでコレクションを始めようと思ったんだ。スケートブランドを扱うセレクトショップのデラックス(Deluxe)が、自分のスクリーンプリントTシャツを置く機会を与えてくれたのも大きいね。

WWD:ブランドでは、ストリートとラグジュアリーを意識してるように思えるけど?

ヘロン:自分でTシャツを作っている時からストリートとラグジュアリーのミックスは面白いと感じていたんだ。だから、ラグジュアリーの要素を自分のストリートスタイルに取り入れるのは自然の流れだった。当時、「クラレンドン(CLARENDON)」っていう「グッチ(GUCCI)」とか「シャネル(CHANEL)」のデザインに影響された面白いTシャツのブランドがあって、そこからストリートとラグジュアリーのミックスを学んだのかも。

あと、ブランド名の「ヘロン・プレストン」の「プレストン」は、実はミドルネームなんだけど、なんだかラグジュアリーブランドっぽく聞こえるだろ?(笑)。どこか可愛らしくて、ファンシーで。でも実際に作っているのは、結構激しいストリートのデザイン。そんなアンバランスも好きで、このブランド名にしたんだ。最初のTシャツのネームタグなんかはラグジュアリーを意識して、サテン素材を使用していたよ。

WWD:ラグジュアリーとストリートの境界が曖昧になっていることについてはどう思う?

ヘロン:どのストリートブランドもそうだと思うんだけど、目指すゴールは最高にイケてるカットソーを作ること。そうなると当然クオリティも考えるようになって、いい素材を使ってカットソーを作ろうとするからストリートがラグジュアリーに寄るのは当然だ。

いまのストリートキッズは要望が多くて、たぶん「ヘインズ(HANES)」のTシャツだけじゃ満足できなくなっているんだ(笑)。やっぱりストリートキッズこそが良いものを着たいと思っているから、どんどんストリートがラグジュアリーになっているんだと思う。キム・ジョーンズ(Kim Jones)の「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」と「シュプリーム」のコラボがまさにそれを象徴していて、キムなんかは自分と同じような音楽を聴いて、同じような「ナイキ」のスニーカーを履いて育ったけど、いまあのポジションにいる。それがストリート全体のレベルを上げてくれた。リカルド・ティッシ(Riccardo Tisci)もいろいろなコレクションを「ジバンシィ(GIVENCHY)」で発表していたけど、1番反響があったのは2011-12年秋冬で発表したストリートテイストの強い「ロットワイラー」のシリーズ。「ヴェトモン(VETEMENTS)」も「バレンシアガ(BALENCIAGA)」も含め、ラグジュアリーがどんどんストリートになってきていて、5年前、10年前には誰も想像できなかったことが起きている。いまちょうど両方が交差している結果だね。

WWD:コレクションではよくオレンジを使っている印象がある。

ヘロン:ファーストコレクションのインスピレーションは、鳥のサギなんだけど、そもそも「ヘロン」が「サギ」っていう意味なんだ。鷺のくちばしだったり、舌、足がオレンジだからメーンカラーにオレンジを用いているんだ。

関連タグの最新記事

最新号紹介

WWDJAPAN Weekly

27メディアが登場、これが私たち自慢の“ナンバーワン”【WWDJAPAN BEAUTY付録:化粧品専門店サバイバル最前線】

11月25日発売号は、毎年恒例のメディア特集です。今年のテーマは "ナンバーワン"。出版社や新興メディアは昨今、ウェブサイトやSNSでスピーディーな情報発信をしたり、フェスやアワードなどのイベントを実施したり、自社クリエイティブやIPを用いてソリューション事業を行ったりなど、事業を多角化しています。そのような状況だからこそ、「この分野ならナンバーワン!」と言えるような核を持てているかが重要です。

詳細/購入はこちら

CONNECT WITH US モーニングダイジェスト
最新の業界ニュースを毎朝解説

前日のダイジェスト、読むべき業界ニュースを記者が選定し、解説を添えて毎朝お届けします(月曜〜金曜の平日配信、祝日・年末年始を除く)。 記事のアクセスランキングや週刊誌「WWDJAPAN Weekly」最新号も確認できます。

@icloud.com/@me.com/@mac.com 以外のアドレスでご登録ください。 ご登録いただくと弊社のプライバシーポリシーに同意したことになります。 This site is protected by reCAPTCHA and the Google Privacy Policy and Terms of Service apply.

メルマガ会員の登録が完了しました。