「サルヴァトーレ フェラガモ(SALVATORE FERRAGAMO)」は、2016年9月から同ブランドでシューズのディレクターを務めるポール・アンドリュー(Paul Andrew)をウィメンズウエアのクリエイティブ・ディレクターに指名した。アンドリュー=クリエイティブ・ディレクターにとって初となるウィメンズウエアのデビューは19年春夏シーズンで、引き続きシューズのディレクターも兼任する。
アンドリュー=クリエイティブ・ディレクターは「アレキサンダー・マックイーン(ALEXANDER McQUEEN)」「カルバン・クライン(CALVIN KLEIN)」「ナルシソ ロドリゲス(NARCISO RODRIGUEZ)」などでシューズデザイナーを務め、「ダナ キャラン ニューヨーク(DONNA KARAN NEW YORK)」で約10年間キャリアを積んだ。その後、13年に自身のブランドを立ち上げ、14年には「CFDAアワード」でトップに輝いた実績を持つ。
同ブランドのウィメンズウエアは16年9月にフルヴィオ・リゴーニ(Fulvio Rigoni)がデザインディレクターに就任し、デビューコレクションを発表したが、評価は二分された。一方で、アンドリュー=クリエイティブ・ディレクターのシューズコレクションは評価が高かったことを受けて、今回の人事に至ったとみられる。
「ポールは『フェラガモ』の本質や価値を繊細にくみ取った上で、エネルギッシュさを加え、シューズを再構築してきた。ウィメンズウエアのクリエイティブ・ディレクターを兼任することで、ウィメンズカテゴリー全般にシナジーが行き渡り、ブランド価値を高めてくれるだろう」とエラルド・ポレット(Eraldo Poletto)最高経営責任者は語った。
アナリストやバイヤーもこの人事を好意的に見ており、イタリアの百貨店ラ・リナシェンテ(LA RINASCENTE)のファッション部門トップのフェデリカ・モンテッリ(Federica Montelli)は、「カリスマ性を持った人物で、今回の人事には納得だ」と評価。同時に、「『フェラガモ』はビッグネームや、そこまで行かなくとも、外から新しいデザイナーを連れてくることはできたはずだ。しかしブランド側は、失敗するリスクを負ってまで目新しさを追求するよりも、ブランドとしての一貫性や安定を優先させたのだろう」と分析した。
アンドリュー=クリエイティブ・ディレクターは今回の人事について「『フェラガモ』が自分を信頼して任せてくれたことに感謝する。レザーグッズを専門とする世界的なブランドと仕事ができることは光栄だし、新たな『フェラガモ』の女性像を描ける機会を与えられたことを楽しみにしている」と喜びを表した。