ミルボンのサロン専売ブランド「オージュア(AUJUA)」は11月1日、成分を強化しリニューアルを行う。タンパク質の研究で得た知見を元に、髪内部のケラチンタンパク質 “α-ヘリックス”を再生させる成分を開発し、エイジングケア、ヘアケア、クライマティックヘアケアの3シリーズ8ラインに配合した。スカルプケアシリーズも来春リニューアルを行う。新たに配合する再生促進成分は、「ダメージを受けた髪は元に戻らない」という通説を覆す、世界初のアプローチとなる。
髪がダメージを受けると、髪内部の大半を占める繊維状のタンパク質コルテックス細胞の、α-ヘリックスの形状が崩れる。これまでのダメージケアではα-ヘリックスに補修成分を付着させて元の形状を保持するアプローチが多かったが、補修成分が剥がれ落ちると元のダメージヘアに戻るため、抜本的な解決には至っていなかった。同社が開発したケラチンタンパク質を自己再生させる“iDTコンプレックス”は、α-ヘリックスに働きかけて構造の再生を促進させる他、髪に作用させることでカラー剤や熱、洗髪による物理的ダメージを抑制する。使えば使うほど、髪内部のタンパク質が再生し、ダメージ耐性力も向上するという。
「毛髪は死んだ細胞ではあるが、分子レベルで見ると毛髪のタンパク質は生きている。最新の再生医療などはタンパク質研究でできていることが多く、観察技術と修復技術を融合させて、毛髪科学を進化させた」と伊藤廉・開発本部中央研究所基礎研究グループ統括マネジャー。その考えのもと、世界最高クラスの大型放射光施設スプリングエイト(SPring-8)で毛髪科学研究を行い、2010年のデビュー以来順調に売り上げを伸ばし、同社のトップブランドに成長した「オージュア」にその研究成果を注ぎ込んだ。
今回のリニューアルではその他、「ドライヤーやコテなどの熱による地肌や髪のエイジング現象を抑制する」「熱で凝集したケラチンタンパク質を再生させる」「髪内部の水分保持機能を回復させて毛髪の乾燥を抑える」「くせ毛の毛髪内の水分バランスを均一化する」「紫外線による髪内部のダメージを抑制する」など、毛髪研究の結果誕生した新成分や新アプローチを、ダメージケアラインやくせ毛対応ラインなど、それぞれの目的に合わせて取り入れた。
人体は水を除くと半分以上がタンパク質で成り立ち、肌や爪もタンパク質でできている。同社は1月にコーセーと資本業務提携を行い、7月31日には合弁会社コーセー ミルボン コスメティクスを設立しているが、この企業タッグでも同社のタンパク質研究技術を活かした、スキンケア商品開発に期待がかかる。