ランバン(LANVIN)は、パリのフォーブル・サントノレ通り沿いでメンズの旗艦店が入居するビルをコンパニー フィナンシエール リシュモン(COMPAGNIE FINANCIERE RICHEMONT以下、リシュモン)に売却したようだ。売却額は不明だが、物件は1億5000万〜2億ユーロ(約199億5000万〜266億円)の価値を有しているとされている。ランバンの広報は「現段階では何も決まっていない。いくつかの選択肢を検討している」としているが、リシュモンのスポークスパーソンは物件の買収を認めている。
メゾンは14年にわたりブランドを導いてきたアルベール・エルバス(Alber Elbaz)の退任後、ウィメンズは混乱している。後任のブシュラ・ジャラール(Bouchra Jarrar)は2シーズンでクリエイティブ・ディレクターを辞し、後任のオリヴィエ・ラピドス(Olivier Lapidus)によるデビュー・コレクションも評判は悪かった。これを受け、ウィメンズ・コレクションの注文は2ケタ減。バッグについても人気商品が生み出せていない。また一連の人事に伴い、同社の少数株式を保有する複数の取締役は、台湾のメディア女王ショー・ラン・ワン(Shaw Lan Wang)=オーナーと考えが異なるとして、同職を辞している。
2012年には2億3500万ユーロ(約312億円)だった売り上げは、昨年には1億6200万ユーロ(約215億円)まで下降し、ここ10年で初めて赤字に転落した。本年度の収益はさらに悪化する見通しだ。
これを受けワン=オーナーは7日、「『ランバン』の価値を信じている。才能ある人々が、『ランバン』に見合う価値を取り戻そうとメゾンに多大なエネルギーを注入している」として年末までに大規模な資本注入をする考えを示した。ワン=オーナーは、同社の株式の75%を保有している。注入する資本が何に、どう使われるかについては、年末までに発表する予定だ。