スケートボードが2020年の東京オリンピック競技に決まり、メディアで取り上げられることが増えた。それに伴いスケーターの人口が増加、ファッション界でもスケーターファッションがブームとなっている。今回、「アディダス スケートボーディング(ADIDAS SKATEBOARDING)」主催のスケートボードツアー「スケート コパ コート(SKATE COPA COURT)」のために来日した、「アディダス」とのコラボも有名な「世界最速の男」デニス・ブセニッツ(Dennis Busenitz)と同ツアーの紅一点、ノラ・ヴァスコンセヨス(Nora Vasconcellos)の2人に現在のスケーターブーム、そして自身のスケートスタイルについて尋ねた。
デニス・ブセニッツ。スピーディーなスケートで知られる他、「アディダス」とのコラボでも有名
WWDジャパン(以下、WWD):スピーディーなスケートが印象的だが、スピードにこだわりがある?
デニス・ブセニッツ(以下、デニス):特にこだわりはないけど、スケートを面白くするには一番手っ取り早いかな。危険も増すけど、成功させなきゃ、ってモチベーションも上がる。
WWD:今のスケートスタイルを確立するきっかけになった人物は?
デニス:トイ・マシーン(TOY MASCHINE)というチームに所属しているダニー・バウリー(Danny Bowery)だね。彼のスピーディーなスケートを子どもの頃に見て、こういう風にスケートをするものだと思っていた。それを真似していたらいろいろとできるようになってきた、という感じかな。
WWD:「アディダス」とのコラボシューズも有名だが、デザイン上のこだわりは?
デニス:「アディダス」とは10年間近くコラボしているんだけど、自分自身が着用することを考えている。実際に自分がスケートする時に履いたシューズをインスピレーション源にすることが多いね。各パーツをいろいろなモデルからピックアップして組み合わせたらどうなるのか考えてみたり。完璧に新しいものは今の時代作りづらいから、自分が気に入っているシューズのパーツを組み合わせて作ることが多いかな。あと、スケートはシューズにすごい負荷がかかるから耐久性はもちろんのこと、履き心地も重視しているね。
WWD:前回の来日と比べ、日本のスケーターの印象は変わった?
デニス:前回来日したのは1年前だったんだけど、その時と比べると日本のスケーターは確実にスキルが向上しているし、数も増えているね。そしてすごくファッショナブル。日本のスケーターにとってファッションもスケートの一部なんだろうね。僕自身は派手でギラギラしたものは苦手っていうだけで、ファッションにそこまでこだわりはないけど(笑)。
WWD:日本でスケーターが増えているとのことだが、世界的にも増えている?
デニス:アメリカでは確実に増えているね。昔はスケーターはアウトキャスト(英語で“のけ者”の意)のように取られていた印象だけど、今はスポーツのように受け入れられている。野球、サッカーとかと同じだね。それを嫌がるスケーターもいるけど、時代は変わった。スケーターじゃない人にも「スケートってこんなに面白いんだ」と思ってもらえるようになったことは、個人的にすごく良いことだと思うよ。
ノラ・ヴァスコンセヨス。男顔負けのパワフルなトリックで知られる
WWD:スケートを始めたのは何歳の時?
ノラ・ヴァスコンセヨス(以下、ノラ):11歳の時。5、6歳の時によく見ていたアニメ「ニコロデオン(NICKELODEON)」のアクション・スポーツが好きだったの。
WWD:尊敬するスケーターは?
ノラ:エリッサ・スティーマー(Elissa Steamer)。女性スケーターがまだまだ少ない時代に、彼女は自分のやり方を貫き続け、それで道を切り開いてきた。周りからもすごくリスペクトされているわ。
WWD:自身のスケートスタイルもエリッサからインスピレーションを受けている?
ノラ:エリッサはスケーターとしての生き方に憧れていて、スタイルはマーク・ゴンザレス(Mark Gonzales)やクリス・ミラー(Chris Miller)からインスピレーションを受けているの。彼らのスケートは芸術的で、力が抜けている。そういうスケートスタイルは息が長い気がしているから。
WWD:インスタグラムのフォロワーが13万人いるが、自身にとってSNSはどういう存在?
ノラ:世界中の人たちが一致団結して、クリエイティブな活動の助けになれるような存在だと思う。そして何より楽しいしね。私自身はスケートしている時の写真と、日常生活のシーンを載せている。その際、誰かに対して攻撃的になったり、間違えた解釈をされないようには気を付けているわ。
WWD:現在のスケーターファッションの流行についてどう思う?
ノラ:世間のスケーターを見る目が変わってきたんじゃないかな。昔は問題児、パンクだと見られていたような気がする。そういった目線が変わって、子どもがスケートをしたい、と言っても親が認めるようになってきている。
WWD:見る目が変わったのはなぜ?
ノラ:多くのスケーターの成功と人気かな。彼らを見てスケーターとして生活ができるんだ、と思われるようになった。それに、オリンピックの競技に選ばれるようになったし。野球のグローブとか、サッカーのスパイクを買うのと同じような感覚でスケートボードを買うようになっている。
WWD:自身を含め、女性スケーターが今増えてきていることについてどう思う?
ノラ:今まではあまり称賛されなかった女性スケーターがやっと注目されるようになってきていることは素晴らしいことだと思う。私自身、幸運なことにアディダスがスポンサーについてくれて、世界中のいろいろな人に会うことができていてとても楽しい。今後は多くの女性スケーター達が世界に出ていければいいと思っているわ。