「エルメス(HERMES)」のハイジュエリーである“オート・ビジュトリー(HAUTE BIJOUTERIE)”の発表が銀座メゾンエルメスで10月28日~11月7日の期間行われた。“オート・ビジュトリー”は2010年に誕生。隔年で新作が登場し、今回のコレクションは4回目になる。発表前日には内覧会が行われ、「エルメス」のジュエリー・ディレクターのピエール・アルディ(Pierre Hardy)が来日した。
アルディは1990年、「エルメス」のメンズおよびウィメンズのシューズ・ディレクターに就任。2001年に当時のジャン・ルイ・デュマ(Jean-Louis Dumas)社長がアルディーに、ジュエリーのクリエイティブ・ディレクターをやってみないかとオファーをしたのがきっかけでジュエリーのデザインを始めた。故デュマ元社長は「パリ・ヴァンドーム広場にあるジュエラーとは一線を画し、自由な発想でデザインしてほしい」と、ジュエリー・デザインの経験のないアルディをクリエイティブ・ディレクターに抜擢した。アルディに当時のことを聞くと、「ジュエリーのデザインは、ゼロからのスタートだった。ボリュームやデザイン、素材などに関して一から学んだよ。ジュエリーのデザインはデッサンから始める。フォルムが重要なんだ」と語る。
「エルメス」には年間のテーマがあり、今年は“オブジェに宿るもの”だ。会場には建築家兼アーティストのディディエ・フィウザ・フォスティノ(Didier Fiuza Faustino)が手掛けた12のモジュールが配置され、アルディがデザインした新作および16年間の歩みを象徴する作品を展示。アルディは「『エルメス』の年間テーマは制約ではなく、楽しんで取り入れるようにしている。今回の展示では、アーカイブからの作品も合わせて、時間のつながりを感じてもらえるとうれしい。新作の中には日時計からインスピレーションを得て制作した作品もある」と話す。彼に「すごくモダンなデザインだけど、まるでクレオパトラが着けそうなネックレスね」と言うと、「モダンなデザインが古代を思い起こさせることもあるかもね」とほほ笑んだ。