香港の大手商社リー&フォン(LI & FUNG)は12月14日、家具、セーターおよびビューティ事業を切り離すことで11億ドル(約1243億円)を調達する計画を発表した。
切り離す3事業に関する株式の45%ずつを投資会社ホーニー キャピタル(HONY CAPITAL)と親会社で持株会社のフォン ホールディングス 1937(FUNG HOLDINGS 1937)が、残りの10%をフォン インベストメンツ リミテッド(FUNG INVESTMENTS LIMITED)が取得する。フォン ホールディングス1937とフォン インベストメンツ リミテッドはリー&フォンと同じグループに属する企業だ。
事業の切り離しは2018年前半には完了する見込みで、既存の株主には5億2000万ドル(約587億円)を現金で支払い、残りの5億8000万ドル(約655億円)はリー&フォンに返還される。この件で6億1000万ドル(約689億円)の損失が発生するが、将来的なキャッシュフローや経営状況に影響はないとみている。
スペンサー・フォン(Spencer Fung)=リー&フォン最高経営責任者は「戦略的に事業を切り離すことで主要事業に集中することができ、財務の強化につながる。今回調達する5億8000万ドル(約655億円)は、当社が3年かけて実現を目指す“デジタル・サプライチェーン”計画に充てる。これまでになかったサプライチェーンを構築することをとても楽しみにしている」と語った。“デジタル・サプライチェーン”計画とは、コスト重視だった既存のサプライチェーンをスピード重視にシフトして、全てをデジタル化するというもの。これに伴い、これまでは実際に製作していたサンプルを廃止し、デジタル上でサンプルの確認ができるようになるという。同社では、17年3月時点でサプライチェーンの50~60%がデジタル化されている。
切り離しを決めた3事業の17年9月期決算時の売上高は18億7000万ドル(約2113億円)で営業利益は8900万ドル(約100億円)だった。16年9月期決算の営業利益が9200万ドル(約103億円)、15年9月期が1億300万ドル(約116億円)だったことをみると、3事業は年々低迷していることが分かる。