H&Mの9~11月期決算は、付加価値税を含む売上高が前年同期比2%減の584億5000万スウェーデンクローナ(約7598億5000万円)だった。この「店舗の売り上げ減により、予想額を著しく下回った」結果を受け、同社の12月15日の株価終値は前日比13%減となり、過去8年間で最低額の174.3スウェーデンクローナ(約2265円)を記録した。
また、17年の11月期通期決算は付加価値税を含む売上高が前年比4%増の2317億4400万スウェーデンクローナ(約3兆126億円)だった。
店舗のパフォーマンス低下は、来店客数の減少によるものとH&Mは説明する。今後は店舗数を減らし、中国の最大手EC企業アリババ(ALIBABA)が運営するECのTモール(Tmall)に、すでに出店している「モンキ(MONKI)」に加え、「H&M」「H&Mホーム(H&M HOME)」ともに来春から出店する。「チープマンデイ(CHEAP MONDAY)」「コス(COS)」など同社の他ブランドの出店も検討しているという。また、消費習慣の変化に対応し、「オンラインとオフラインを統合する他、閉店を進め、新規オープンは縮小する」としている。
H&Mの売上高が3%増と予想していた、証券金融会社レイモンド・ジェームズ(RAYMOND JAMES)のアナリスト、セドリック・レカスブル(Cedric Lecasble)は、「今回の決算の結果は過去最低のパフォーマンスだった可能性が非常に高い。H&Mは消費者がオンラインにシフトしていることを理解してはいるが、店舗はそれに対応していない。オンラインとオフライン統合型のビジネスモデルへの転換に多額の投資をしており、店舗は商品ピックアップ、返品、再購入の拠点として機能するようになるだろう。だが、その転換には時間がかかるだろう」と話す。
ミカエル・エヴァンズ(Michael Evans)=アリババ社長は、「H&Mは世界で最も革新的なファッション企業の一つ。Tモールにぴったりだ」とコメント。RBCヨーロッパ(RBC EUROPE)のアナリストは「これにより、中国でH&Mのブランドの裾野が劇的に拡大するはずだ」と話す。
H&Mはセレブや歌手とのコラボレーションに積極的で、ニッキー・ミナージュ(Nicki Minaj)とホリデーコレクションを、18年3月1日には歌手のG・イージー(G-Easy)とコラボしたメンズのストリートウエアのコレクションを発売するという。
H&Mが苦戦する一方、「ザラ(ZARA)」や「ベルシュカ(BERSHKA)」を運営するファッションSPA最大手のインディテックス(INDITEX)の2月〜10月期の9カ月の売上高は、前年同期比10%増と順調に伸びている。なお、インディテックスもオンライン強化を進めている。