ジーンズは米国へのあこがれなくしては語れないが、まめな日本人によって解析、体系化されたデニムは現在、名だたるスターデザイナーも教科書とするところだ。日本におけるブームをけん引し、いち早く世界に打って出たのが、バックポケットにペンキで手描きされた“カモメマーク”で知られる「エヴィス(EVISU)」だ。
大阪出身の山根英彦エヴィスジャパン社長が、「エヴィス」を立ち上げたのは1991年。独自のパターンメーキングやメード・イン・ジャパンを大々的に打ち出したプロモーションが成功し、“欧米で初めてヒットした日本のデニムブランド”となった。一方で山根社長は、「世間的に『エヴィス』はジーパンブランドと思われているかもしれんけど、"デニム素材をうまいこと使うのんが得意な洋服屋”を自負している」と言う。それらはデニム製テーラードジャケットや、迷彩柄ジャカードデニムによるバッグなどに象徴される。
そんな山根社長が「どや、すごいやろ?」と見せてくれたのが、2018年2月に発売するデニムとレザーのコンビネーションシューズだ。無骨な見た目と堅牢性はグッドイヤーウェルテッド製法によるもの。ベースは特殊加工のデニムで、最も履きジワの入るトウ部分にメダリオンをあしらったカーフを当てている。補強の意味でのデザインは過去に例がないわけではないが、これでもかと穴飾りを施しているのが「エヴィス」流だ。「ドレッシーなんか、カジュアルなんか分からんとこがええやろ?(笑)」。履きなじみのいいソフトな革を使うのが今流だが、あえて硬さを残した別注レザーを用いてクラシックさを出している。価格は8~9万円を予定する。
「洋服屋が靴をこさえるなら、シューズブランドの作らへんけったいなもんにしたい」。創業から25年以上を経た「エヴィス」は、今なおあまのじゃくで、男心をくすぐる驚きを与えてくれる。