最近やたらと聞くようになった“インフルエンサー”は、正直ちょっとカワイイだけでフォロワーが多い女の子ってくらいに思っている。だからこそ、そんな女の子にペコペコ頭を下げるマーケティングなんて理解できず、よく分かってもいないから早くもちょっとウンザリしてきた……。そんなアナタのために、インフルエンサーに特化したマーケティングを実践するリデル(Liddell)の福田晃一・最高経営責任者(CEO)が分かりやすくインフルエンサー・マーケティングのイロハを解説します。第1回目は、本当にイロハの“イ”。「インフルエンサー・マーケティングって何?」からスタートです!
Q.そもそもインフルエンサー・マーケティングって何?
A.企業が個人と取り引きするBtoCtoCのコミュニケーション。でも、本質は既存のマーケティングと同じです。
「インフルエンサー・マーケティングって難しそう」とか「なんだか怪しい」と思っている人たちは、そもそもインフルエンサーとは何者なのかを理解することから始めましょう。まずは、インフルエンサーをテレビや雑誌、ウェブサイト同様、1つのメディアと捉えてみてください。全てのメディアは人が集まるところで生まれ、人気が出ればさらに人を集めますよね。スポーツファンにはスポーツメディアがあり、ファッションが好きな人にはファッションメディアがあります。そして、例えばメーカーやブランドなどの企業はメディアを持つ出版社などにアプローチし、共に消費者を動かしてきました。これがいわゆるメディア・マーケティングです。そして今、インフルエンサーのSNSは1つのメディアになりました。そこで企業には、インフルエンサーにアプローチして共に消費者を動かすマーケティングが求められるようになったんです。これがインフルエンサー・マーケティングです。
テレビや雑誌を使ったマーケティングが企業間のコミュニケーションに基づくもであるのに対して、インフルエンサー・マーケティングでは、企業は個人と取り引きすることになります。そしてインフルエンサーは、企業にとってアプローチしたいエンドユーザーでもあることがしばしばです。つまりメディア・マーケティングがBtoBtoCのコミュニケーションであるのに対して、インフルエンサー・マーケティングは企業から消費者でもある個人のインフルエンサー、さらに消費者というBtoCtoCのコミュニケーションということになります。後述するように考え方は何も変わりませんが、“食わず嫌い”の人は、エンドユーザーになり得る個人に自分たちが直接アプローチすることに不慣れゆえ、戸惑っているのだと思います。
SNSの使い方が変わってきた
インフルエンサーがこれほどまでに注目されるようになったのは、消費者の行動様式が変化したからです。数年前までのソーシャルメディアは、友達と体験を“共有する”コミュニケーションツールにすぎませんでしたが、現在は、その体験を第三者が探し出す検索ツールとしての性格も帯びています。結果、SNSは友達と双方向のコミュニケーションを交わすだけでなく、そこに別の人物が現れたり、リポストされることで全然別のコミュニケーションに発展したり、世界中のユーザーとつながる360度全方位型のコミュニケーションツールになったんです。ちなみに現在、国内のインスタグラムユーザーは2000万人を突破しました。
今SNSには日々膨大な情報が蓄積されています。そして今の消費者は、グーグルやヤフーなどではなく、インスタグラムなどのSNSに信頼を抱き、検索ツールとして用いています。ポータルサイトの検索エンジンでは、企業発信のコンテンツにしかたどり着けないと感じているんです。一方インスタグラムはユーザーの実体験に基づく投稿がメーンなので、信頼できると考えているんですね。弊社の昨年の調査では、ミレニアル世代の67%はインスタグラムを検索ツールとして使っています。今はもっと増えているはずです。ハッシュタグは、そんな検索ツールとしてのインスタグラムの中で、知りたい情報にたどり着いたり、知らせたい情報に導いたりするための“存在証明書”みたいなものです。
だからこそ、かつてSEO対策で自分たちが発信する情報を検索上位に表示させようとしてきた企業には、インスタグラム上で発信したい情報をタイムラインや検索結果に表示させる戦略が欠かせなくなっています。その案内人になり得るのがインフルエンサーです。
インフルエンサー・マーケティングにもタイアップがあることを学ぼう!
今度はインスタグラムを1つの国ととらえてみましょう。例えば青年が主人公のアメリカのヒーローアニメは、少年が主役の冒険マンガが好まれる日本ではヒットしないのと同様に、どんなに良い商品もインスタグラムでバズる保証はありません。それは、“インスタ国”には、独特のカルチャーがあるからです。そして、カルチャーを一番知っているのは、インフルエンサーなんです。 今多くの企業は、インフルエンサー・マーケティングとはフォロワーの多いインスタグラマーを起用し、対価を支払い、思い通りの投稿をしてもらうことと思っています。けれどそれはメディア・マーケティングでいう“純広告の出稿”みたいなもの。インフルエンサー・マーケティングの一例にしかすぎません。これからは雑誌のように、インフルエンサー・マーケティングにもタイアップがあることを学びましょう。皆さん、雑誌のタイアップではメディアのコンセプトや特性を聞き、編集者と中身や切り口、見出しを相談しながら進めますよね?編集者をインフルエンサーに置き換えれば、インフルエンサー・マーケティングの本質に近づけると思います。アプローチしたいターゲットやプロモートしたい商品をもとにインフルエンサーを決めたら、あとは内容もハッシュタグも投稿のタイミングもインフルエンサーと一緒に考えるべきです。中には“台割”まで考えるインフルエンサーもいます。ロハス特集の雑誌にテクノロジー系コスメのタイアップが入っていたら、読者はビックリするでしょう?一流のインフルエンサーは今、前後の投稿まで調整したり、テストアカウントを使って反応を確かめたりしながら、企業の期待に応えようとしています。
■インフルエンサー・マーケティングに関する質問大募集!
本連載で今後取り上げてほしいテーマやインフルエンサー・マーケティングに関する質問を大募集します!「優秀なインフルエンサーの特徴は?」「効果的なインスタグラムの活用術を知りたい」「ハッシュタグのつけ方は?」など、福田CEOが分かりやすく解説してくれるはず。下記からお気軽にご質問ください。
関連タグの最新記事
(更新:)
ファッションの最新記事
WWDJAPAN Weekly
WWDJAPAN Weekly 2024/11/18発売 Vol.2381
「WWDJAPAN」11月18日号の特集は、毎年恒例の「DX特集」です。今回はDXの先進企業&キーパーソンたちに「リテール」「サプライチェーン」「AI」そして「中国」の4つのテーマで迫ります。「シーイン」「TEMU」などメガ越境EC企業の台頭する一方、1992年には世界一だった日本企業の競争力は直近では38位にまで後退。その理由は生産性の低さです。DXは多くの日本企業の経営者にとって待ったなしの課…
CONNECT WITH US
モーニングダイジェスト
最新の業界ニュースを毎朝解説
前日のダイジェスト、読むべき業界ニュースを記者が選定し、解説を添えて毎朝お届けします(月曜〜金曜の平日配信、祝日・年末年始を除く)。 記事のアクセスランキングや週刊誌「WWDJAPAN Weekly」最新号も確認できます。
メルマガ会員の登録が完了しました。