八木通商は、イタリアのGCグループ(GC GROUP)が持つバッグブランド「ジャンニ・キアリーニ(GIANNI CHIARINI)」の国内独占販売権を獲得した。これまではエス.アイ.エムが手掛けていたが、2018-19秋冬シーズンから八木通商の下で新たな展開が始まる。八木雄三・社長は「精査するが」としたうえで、「専門店や百貨店など既存の卸先は引き継ぎ、2018年秋をめどに銀座か青山エリアに旗艦店をオープンしたい」と述べた。
「ジャンニ・キアリーニ」は1974年にフィレンツェで創業した。今なおメード・イン・フィレンツェを貫き、レザー製品で中心価格帯は3万~4万円。八木社長は「クオリティーやデザインを段階的にアップグレードし、将来的には5万円前後で勝負したい」と語った。これにより八木通商は、アクセシブル・ラグジュアリーゾーンへの取り組みを本格化する。「4万、5万円から10万円までのアクセシブル・ラグジュアリーゾーンは世界的に大きなマーケット。ここに打って出るべく良質なブランドを探していたところ、『ジャンニ・キアリーニ』と出合った」。
GCグループは、ベネトンの創業者ルチアーノ・ベネトン(Luciano Benetton)の長男アレッサンドロ・ベネトン(Alessandro Benetton)が出資し、15億ユーロ(約1980億円)以上の資産を保有するイタリアの投資会社ベントゥーノ・インベスティメンティ(21 Investimenti)が経営している。「ベントゥーノ・インベスティメンティの強力なプッシュも契約締結に大きく作用した。ラグジュアリーブランドを育てるには、とにかく費用がかかる。そのためにファンドの後ろ盾は重要なファクターだ。先立つものがなければ、ゲームに参加することすらできない」と八木社長。
八木洋三・八木通商常務取締役は「『ジャンニ・キアリーニ』の強みは、どんなタイプの女性にもフィットする全方位性だ。上級感のあるデザインと手頃感で、ポスト『フルラ』を目指したい」とし、「ただし日本市場をよく知るわれわれが力になり、アイテムの選定(ブランディング)を行う必要もあるだろう」と続けた。「スピード感を意識してECも強化したい。限定アイテムや色のカスタマイズなど、ECならではの付加価値も考えたい」と展望を語った。
八木通商は、「商社ならではのダイナミズムと、ブランドビジネスで培った“小回り力”をもって」、5年後の売り上げ65億円を目指す。