ファッション

24歳デザイナーの「ルーピー ホテル」が目指す“日本発、世界基準の”ストリートウエア

 ストリートを中心にブームとなっているグラフィック系ブランドの中で、その存在感を着実に増してきているのが日本発の「ルーピーホテル(LOOPY HOTEL)」だ。同ブランドは弱冠23歳(当時)のグラフィックデザイナー、TEITOが2016年4月にスタート。卸先は現在、国内4店舗、海外6店舗と海外の方が多い。「日本発、世界基準のストリートウエアを目指す」と語るTEITOのブランド論とは?

WWDジャパン(以下、WWD):ブランド開始の経緯は?

TEITO「ルーピー ホテル」ディレクター(以下、TEITO):もともとは先輩や友達のためにグラフィックをデザインしていたんです。そういった活動を僕が当時働いていたセレクトショップのマネジャーが見てくれていて「お前も何かブランドをやってみろ」と言われて手刷りのTシャツ20枚ほどから始めてみました。時期的には16年の春、大学を卒業して1年後くらいでしたね。

WWD:大学では服作りに関することは学んでいた?

TEITO:文化服装学院にいたので、ファッションとは全くの無関係というわけではないんですけど、学科は流通だったので服作りを学んでいたわけではないです。

WWD:グラフィックのデザインに関しては独学?

TEITO:「ティー(TTT_MSW)」デザイナーの玉ちゃん(玉田翔太)の手伝いとかを在学中にしていて、その流れでグラフィックの作り方を学んでいきました。グラフィックデザイナーを目指していたわけではないのですが、結果いろいろとグラフィック制作の依頼が来るようになりました。

WWD:デザインにおけるインスピレーション源は?

TEITO:1980、90年代の映画が多いですね。映画は好きで、幅広く見ています。あとは音楽ですね。ディスコミュージック世代の父の影響が強いんですけど、音楽も80年代あたりのディスコ、ポップスが小さい頃から好きで。先輩にすすめられて、最近のヒップホップとかもよく聴きますが、それよりも昔の音楽の方が好きですね。

WWD:父の影響があるとはいえ、リアルに体験していない80年代に魅力を感じた理由は?

TEITO:80年代のものって、今のクリーンな感じの雰囲気と比べると、ちょっとザラつきがある。そういった雰囲気に惹かれているのかもしれません。あとは分かりやすさ。最近の映画ってバッドエンドなものも多いけど、昔の映画は大体ハッピーエンドなんですよ。「ルーピーホテル」でも、女性の輪郭をモチーフにしたり、分かりやすいデザインにすることが結構多いです。

WWD:インスピレーションを受けてからデザインするまでの過程は?

TEITO:生活している中で気になった映画や音楽、フレーズなんかを携帯にとりあえずメモして、シーズンが始まってデザインをする段階に入ったらメモを見て一気にグラフィックにしていく、という流れですね。

WWD:シーズンテーマはどのように決めている?

TEITO:自分の感情が出ている時もあれば、その時の雰囲気もあって、自分の中で好きなようにシーズンテーマを決めています。あまり流行りものは使いたくない、という気持ちもありますけど。

日本発、世界基準のストリートウエアを目指す

WWD:現在海外を中心にグラフィックが特徴的なストリートブランドの勢いがすさまじいが、「ルーピーホテル」はその中でどういった立ち位置を狙っていきたい?

TEITO:確かに、海外だと「ブレインデッド(BRAIN DEAD)」や「グッドカンパニー(GOOD COMPANY)」など、インディペンデントな動きをしているブランドが出てきている。僕もそういったブランドが好きで「ルーピーホテル」を始めました。一方、海外でも通用する日本のストリートウエアって「ダブル タップス(WTAPS)」とか「ア ベイシング エイプ(R)(A BATHING APE(R))」とか、世代的に僕らからは少し離れているブランドが多い。だから「ルーピーホテル」を海外で通用する基準にまで成長させていきたいな、と思っています。ストリートの第一線で活躍している人たちから「いいな」と思われるブランドにしたいですね。

WWD:ブランドの評価を高めるために気を付けていることは?

TEITO:何よりもまずグラフィックですね。後はルックブックにもかなりこだわっていて、写真の半分以上は自分で撮っています。モデルの人も全員自分の知り合いにお願いしています。ブランドの規模としてそれがベスト、ということもありますが、今は自分のできる範囲内で完結させたい。ローカル感というか、自分たちの周りのクルーで発信している、という感覚を大事にしています。

WWD:現在、何店舗で卸を行っている?

TEITO:国内ではウィズム(WISM)とサプライ(SUPPLY)、沖縄のチョコレートジーザス(CHOCOLATE JESUS)、福岡のアップルバターストア(APPLE BUTTER STORE)の4店舗、海外ではストリートX(StreetX)、ノーウェア ファスト(NOWHERE FAST)、ファイアメント(FIRMAMENT)、ローディング ストア(Loading Store)、ラボ タイペイ(Lab Taipei)、HBXの6店舗ですね。日本ではブランドの世界観とマッチするようなショップを選びつつ、海外の卸先拡大を狙っています。16年の夏頃はサプライしか取り扱いが無かったんですが、年末にチョコレートジーザスとアップルバターストアでの取り扱いが決まりました。で、17年の夏にウィズムと、海外の4店舗が決まりました。

WWD:短期間で一気に卸先が決まったと。

TEITO:そうですね。もともと需要に対して供給が少し追い付かない程度の生産数でブランドを運営していましたが、卸先が増え、売り上げが一気に上がったことで生産数もかなり増ました。なので生産体制などをあらためて考えなければいけなくなってしまいました(笑)。それが「ルーピー ホテル」の今後の課題ですね。ただ、急に卸が増えたりはしましたが、ある程度息が長いブランドにしていきたいです。グラフィック系のブランドって勢いがあっても1、2年で終わっちゃうところも多いので。目標としては自分が30歳になるまでにある程度ブランドを大きくしたい。それで周りの仲間と一緒に仕事をしていけたらいいな、と思っています。

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