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資生堂が塗るだけで人工皮膚になる事業を取得 化粧品に応用か

 資生堂は1月11日、アメリカ地域本社であり連結子会社のシセイドウ アメリカズ コーポレーション(SHISEIDO AMERICAS CORPORATION)を通じて、米ベンチャー企業のオリボ ラボラトリーズ(OLIVO LABORATORIES)の保有する、人工皮膚を開発する「セカンドスキン」事業および関連事業を取得した。

 オリボ ラボラトリーズはマサチューセッツ工科大学のロバート・ランガー(Robert Langer)博士、ダン・アンダーソン(Dan Anderson)博士、マサチューセッツ総合病院のロックス・アンダーソン(Rox Anderson)博士が2015年に設立。同社の特許技術である「セカンドスキン」はポリマーベースのクリームの上に専用の乳液を重ねて塗ることによって肌と一体化し凸凹を修正する人工皮膚を肌上に形成し、シワやたるみを隠すことを可能にする。ランガー博士は「『セカンドスキン』は肌につけても安全で、肌のテクスチャーや形に合わせてフィットする。肌に塗るクリームやトリートメントは約90〜95%は擦れなどにより肌に浸透する前に取れてしまうことが多いが、同技術は美容成分を肌に閉じ込めることに優れている。製品化することにより、一般の人も使用できるようにしたい」と語った。島谷庸一・執行役員常務は「従来の化粧品は肌の中に成分が浸透し、内側から肌を健康的に導くことが主流だ。『セカンドスキン』は肌の内部へ浸透せず、バリアをつくる全く新しいアプローチの技術だ。肌は常に外部環境にさらされているため、食べ物などによる栄養だけでなく、外から守る保護膜が必要」とコメント。

 今回の資産譲渡により、オリボ ラボラトリーズの研究開発チームはシセイドウ アメリカズ コーポレーションに移籍し、資生堂グループの研究開発をサポートする。「セカンドスキン」の技術を活用し、即効性のあるシワやたるみの補正をかなえるスキンケアや日焼け止めの開発を行う予定だ。

 資生堂グループは中長期戦略「ビジョン 2020」の達成に向けて、積極的にイノベーションに取り組み、17年にスマートフォンのアプリによる肌色測定で一人一人の肌色に合ったファンデーションを提供するマッチコー(MATCHCO)、AI(人工知能)を応用したパーソナライゼーション技術を持つギアラン(GIARAN)を買収した他、パーソナライズされたスキンケアを処方する「オプチューン(OPTUNE)」を開発。また、19年4月までに横浜に新しい研究開発機関を設置する予定だ。

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