米アマゾン(AMAZON)が22日、シアトル本社に併設する社員用のグローサリーストア「アマゾン ゴー(AMAZON GO)」を、一般客も利用できる店舗としてオープンした。同店舗はレジに並ぶことなく買い物ができる最新のオムニチャネル型ショップ。「アマゾン」の専用アプリを使って「アマゾン ゴー」入り口でスキャンするだけで利用が可能になる。店内で商品をカゴに入れ、そのままレジを通らずに購入が完了する仕組みだ。
店内にはAIを導入した無数のカメラが設置されており、ユーザーが入店した直後から個別にトラッキングを開始する。商品を棚からピックアップすれば、カメラがその行動(購入点数や金額)を記録するというシステムだ。営業は月〜金曜日の7〜21時で、店舗面積は約167平方メートル。店内にはシェフが調理した朝食、昼食メニューをはじめ、スナックや飲料、ベーカリー食品などが並ぶ。
アマゾンは今後の出店計画や店舗の詳細を明かしていないが、米調査会社IHLグループのジェリー・シェルドン(Jerry Sheldon)=アナリストは「約167平方メートルの店内を網羅するためには、1台500ドル(約5万5000円)のカメラを400台も設置しているのではないか」と予測する。
アマゾンは17年8月、ホールフーズマーケット(WHOLE FOODS MARKET、以下ホールフーズ)を買収した。「もし、今後同様のシステムを平均3500平方メートルもあるホールフーズに導入するとすれば、店舗ごとにハードウエアだけで422万ドル(約4億6400万円)のコストがかかる」とシェルドンは推測する。グローバルで500近い店舗数を持つ同社が、このシステムをそのまま導入することはないだろう。
しかし、アマゾンがこのテクノロジーに関する特許を持っていた場合(同社は明言を避けているが)、セブン-イレブンやターゲットなどの小売店に技術を販売する可能性もある。「RFIDタグを組み合わせれば、アパレル企業でも同様の“キャッシュレス”ストアを実現できるのではないか」とシェルドンは語る。今後、“キャッシュレス”ストアが普及する布石として、まずは自社店舗でテスト・マーケティングを始めたと考える見方が妥当かもしれない。