企業のブランディングやPR事業などを請け負うツインプラネットがスタートアップ企業のアイエントと組み、次世代のインフルエンサー事業のための共同プロジェクトを開始する。まずはツインプラネットが持つプレスルーム「チェスト表参道」とアイエントが運営するオンライン上のショールームサービス「スタイリア(STYLIA)」を統合し、「チェスト バイ スタイリア(CHEST BY STYLIA)」を立ち上げた。両社合わせて750ブランドを扱うプレスルームとして、契約スタイリスト600人に対してオムニチャネルなプレスルームとして利用を促す。
続けて3月上旬、有名タレントを起用した受注販売形式のECサイト「インチョイス(IN-CHOICE)」を立ち上げる。まずはGENKINGとミチ、桃坂ナナの3人を招請し、彼女らがセレクトした商材を自らが宣伝、予約が入った分だけを生産・販売する形式をとる。売り上げの一部はタレント本人にも還元される。販売するのはアパレル会社が企画段階で製品化しなかったいわゆる“没サンプル”で、提携するアパレル会社はサンプルを無駄にすることなく、新たな売り上げを立てることができる仕組みだ。今後はタレントに応じて別注商品など、カテゴリを広げる計画だ。
プロジェクトを担当するアイエントの坂本直章アカウントエグゼクティブは、「両社はPR業務やタレントのキャスティングなど、似通った事業をしてきたが、多くのタレントを抱え圧倒的な訴求力を持つツインプラネットとシステムに強いアイエントというそれぞれの長所を組み合わせることで、アパレル業界にかつてない事業を生み出せるのではないかと感じた。アイエントが持つアパレルとのつながりを利用し、ツインプラネットの拡散力を使って商品を消費者に訴求する。しかも、物を売る能力の高いインフルエンサーを活用して、これまで市場に出回ることのなかった“没サンプル”に価値を見出すことができる」と経緯を説明する。「両社が抱える『チャオ(chao)』と『インスター(In-star)』というキャスティング事業も統合し、発信力を一本化する。消費者目線に近いインフルエンサーというフィルターを通すことで、購入エンゲージメントは高まる。1つずつの商品は大きなビジネスではないかもしれないが、ある程度継続することで事業としてのボリュームを広げられるはずだ」と意欲をみせる。
アイエントの大森智人・社長は、「今後はインフルエンサーの価値が見直される時代になる。現在、多くのSNSマーケティングで定義されている“フォロワー数=インフルエンス力”という構造ではなくなる。本来のインフルエンサーの価値とは“インフルエンスすべき価値のあるものを見つけて伝える人”。この真のインフルエンサーとなれる人を本プロジェクトで発掘していきたい」と語る。
ツインプラネットの矢嶋健二・社長は、「われわれは競合ゆえに同じ目的を持っている。インフルエンサーのポジションが大きく変わるこのタイミングで、互いの強みを生かして一緒にやっていくべきだと考えた」と話す。インフルエンサーのあり方について聞くと、「ファストファッションの大量生産・大量消費がありながらも、これからは個人の感度でセレクトされたモノの時代が来る。これからはマスに向けたセレクトではなく、個人の感度でセレクトしたものに、少数だが深度の深いファンがつくような構図だ。いうなれば“インフルエンサー2.0”。長期的なマーケティングや共感・関係性を強化していくことが必要になる時代だ」。