今東京で一番面白いと思っているのが、立ち上げ3~4年前後、デザイナーが30歳前後のブランド群です。「アキコアオキ(AKIKOAOKI)」「ケイスケヨシダ(KEISUKEYOSHIDA)」「リョウタムラカミ(RYOTAMURAKAMI)」「ヨウヘイオオノ(YOHEI OHNO)」などがその代表格。ショーやプレゼンテーションを行わずに、展示会のみで発表しているブランドを含めると、この世代の面白いデザイナーはもっともっと沢山います。
といっても、ビジネス的にはまだまだこれからというブランドばかり。それでも、つい数年前までショーとも呼べないようなアマチュア色の強過ぎる合同ショーを行っていたブランドが大半なだけに、どのブランドもよく成長したなと感慨深く思います。同時に、これから個性をもっと磨いていけば、ひとつ上の世代の注目ブランド「マメ(MAME KUROGOUCHI)」に続くような存在に育つのかもしれない。そう期待もしています。
「アマゾン ファッション ウィーク東京(Amazon Fashion Week TOKYO)」3日目の21日は、そんな注目新世代デザイナーたちの発表が目白押しでした。その中でも、一番ノッてるなと感じたのは青木明子さんの「アキコアオキ」です。シャツやスーツといったメンズのベーシックウエアを軸にしつつも、思春期の女の子のようなガールズパワー全開なクリエイションが青木さんの持ち味。どれだけ深くスリットが入っていても、どれだけフリルがたっぷりでも、男性目線が介在する余地が無いので、ここの服は決して媚びた感じになりません。女子が感じる“かわいい”がギュッと詰まっており、それゆえに強いのがこのブランドです。
今回のプレゼンテーションでは、モデルが観客の前でラックから服を選び、鏡の前で着替えていくという“生着替え”演出でした。それがブランドならではの女の子の親密な感じに合っていて、とても良かった。そして、同じ服を何通りかに着回してくれるので、「この服、難しそうだと思ったけど、こうやって着てもいいのね!」という発見がありました。セレクトショップの店頭などを取材すると、「今の時代、着回し提案がいかに重要か」という話を非常によく聞きます。今回のプレゼンは、そんな消費のツボもドンズバで押さえているなと感じました。こういうリアリティーの表現ができるのは、女性デザイナーが作る女性服ならではだと思います。
「リョウタムラカミ」「ケイスケヨシダ」「ヨウヘイ オオノ」の発表も、どれも挑戦やユーモアを感じて、とても良かったです。ただ、リアリティーと挑戦のバランスという面で言うと、「アキコアオキ」が一歩先を行っていたかな、と。もちろんどのデザイナーも、女性のリアリティーやどういうものなら売れるのかということはものすごく考えているでしょう。考えた上で、「ファッションである以上、常にフレッシュでないといけない」(ショー後の「ケイスケヨシダ」の吉田圭佑さんの言葉。とてもぐっときた)と挑戦もしたのだろうと思う。各デザイナーの、そうした挑戦の心に深くリスペクトを払いつつ、今後、クリエイションでもリアリティーでもより強いブランドになっていってくれるだろうことに期待しています。