ヘアサロン業界において、2015年を中心にトレンドとなった外国人風のヘアカラーは、ブリーチで色を抜いたうえでアッシュやグレーなどのカラーリングを施すもの。しかし、ブリーチをすると髪が傷むという理由から、髪の傷みを気にする40代以降の女性にまでブームが波及することはなかった。
しかし最近、ブリーチを必要とするカラースタイルの人気が“再燃”している。著名サロンからのヒアリングでそうした声があがってくる他、美容専門出版社の女性モード社が昨年12月に刊行した美容師向けのブリーチ教本「思うままに色を出すための ブリーチ攻略本」がすでに重版4刷が決定するなど、業界専門書としては異例の売れ行きをみせている。
こうした現象の背景について、業界を代表するヘアサロン「ミンクス(MINX)青山店」の佐藤スナオ代表兼トップデザイナーは以下のように話す。「1年前くらいから、ブリーチスタイルの人気が高まっているのを感じる。“外国人風カラーブーム”のときはグラデーションの提案がメーンだったが、最近は全頭ブリーチだったりハイライトで入れたりとバリエーションが増えている。以前は流行に敏感な層を中心としたトレンドだったが、今回は幅広い層に浸透している気がする。“再燃”の背景には、インスタ映えするカラーリングが求められているという理由もあるが、高性能のブリーチ処理剤が登場したことが大きい」。
「ブリーチ処理剤」とは、ブリーチ施術の際に使用して髪へのダメージを軽減させるもので、ブリーチ施術だけではなく、パーマやカラーリングなども含めて、髪にダメージを与える施術全般に使用できるものも多い。現在は、17年6月にシュワルツコフ プロフェッショナル(SCHWARZKOPF-PROFESSIONAL)が発売した「ファイバープレックス(FIBREPLEX)」と、プロジエが18年2月に発売した「オラプレックス(OLAPLEX)」の2製品が人気を博している。「使用すると、髪の質感の低下が明らかに抑えられ、違いを実感することができる。社内で同じ人毛を用いて、『オラプレックス』を使用した場合と使用しない場合とで、ブリーチをしたときの髪のダメージ具合を比べる実験を行ったが、明らかな違いが出た。これまでダメージを気にしていたお客さまにも提案しやすくなり、特に40代以上の女性へのハイライトの提案が受け入れられやすくなった」。
「ファイバープレックス」は、ブリーチ施術の際の枝毛・切れ毛を大幅に軽減し、髪自体を強く、艶のある状態に導く毛髪強化システム。「発売して早々にサロンスタッフの方々による多くのインスタグラム投稿があり、予想を超える反響となった。18年は、昨年に比べ倍以上の配荷を見込んでいる」とシュワルツコフ プロフェッショナルPRは話す。
「オラプレックス」は、ケミカル施術などによって引き起こされる毛髪結合のダメージを、結合レベルでケアすることに成功したサロンシステム。まだ発売したばかりだが、導入サロン数が急速に増えていて、プロジエの担当者は「『モロッカンオイル』が日本に上陸したときと同じような勢いを感じている」と話す。「ブリーチ処理剤」は、人気のわりに日本ではまだアイテム数が少ないため、今後大きな伸びを感じさせるカテゴリーでもある。