ナイキ(NIKE)の17年12月〜18年2月期決算は、売上高が前年同期比6.5%増の89億8400万ユーロ(約9433億円)の増収、純損益は前年同期の11億4100万ドル(約1198億円)の黒字から9億2100万ドル(約967億円)の赤字に転落した。なお、営業利益は同6.7%減の11億7100万ドル(約1198億円)だった。
赤字の主な理由は、米税制改革の影響による税金費用で、約20億ドル(約2100億円)に上ったと見られる。また、販売管理費がマーケティングやイノベーションに対する費用が想定外に増え、同10.8%増の27億6700万ドル(約2905億円)だった。
地域別の売上高は、北米地域が同6%減の35億ドル(約3675億円)だったが、中国は同24%増の13億ドル(約1365億円)、ヨーロッパ・中東・アフリカ地域は同19%増の23億ドル(約2415億円)、アジア太平洋地域・ラテンアメリカ地域は同13%増の13億ドル(約1365億円)だった。
マーク・パーカー(Mark Parker)社長兼会長兼最高経営責任者(CEO)は、北米地域は減収だったものの、リアクト(React)ソールを採用したモデルなど新製品の開発・発売や、顧客のショッピング体験向上、在庫削減などの取り組みが好調であることから「北米地域で大幅な逆転の兆しが見え始めた」と語る。加えて、米国内のEC売上高も2ケタ成長したという。
また、同社はニューヨークのデータ分析企業、ゾディアック(ZODIAC)を買収した。買収額は非公表。パーカー社長兼会長兼CEOは買収の目的について「ゾディアックの独自ツールにより、NikePlusのメンバーをはじめとする世界中の消費者との関係を深めることができる。さらなるメンバーの獲得と主要都市での需要情報をキャッチする」と語る。
なお、「ナイキ」ブランドのプレジデントを務めていたトレバー・エドワーズ(Trevor Edwards)が、「行動について苦情を受けた」とされ電撃辞任した件については詳細を語らなかったが「包括性、リスペクトそしてエンパワーメントというナイキの持つ価値観に反した問題行動を認識した。全ての従業員に、成功できるポジティブな環境にいると感じてほしい」とコメントした。
今後については、18年後半に北米地域で利益が回復し、19年5月まで売上高は1ケタ台後半増で成長すると見込む。