Photos by Kozo Takayama
ファッションやギャラリー、フードなどの各フォールドでエッジを効かせたコンテンツを発信する表参道のランドマーク、ジャイル(GYRE)。開放感のある吹き抜けを中心に、渦を巻くような建築をエスカレーターで昇って行くと、次々と目に入ってくるのはここにしかないエクスクルーシブなショップたちだ。今回は、中村ヒロキ「ビズビム(VISVIM)」クリエイティブ・ディレクターとマルコ・プロブスト=デルヴォー最高経営責任者にジャイルを選んだ理由を聞いた。
ブランド誕生から15年目を迎え、より広く紹介したいと考えた
中村ヒロキ/「ビズビム」クリエイティブ・ディレクター
PROFILE:2001年に「ビズビム」を立ち上げる。シューズが海外からも高い評価を得て、今では服からアクセサリーまで扱う。09-10年にかけ、「モンクレール V」のデザイナーを担当
ジャイルとの関係は、2011年、設立10周年を迎えた「ビズビム」が、「EYE OF GYRE」でアーカイブ展を開いたことに始まる。その後、天然インディゴ染色に特化した「F.I.L. インディゴ キャンピング トレーラー」を3階にオープン。縁はつながり今年6月、260㎡の新コンセプトショップをオープンした。「ブランドとしても15年目を迎え、今までのデスティネーションショップ的展開からもう少しわかりやすい形で、私たちの作っているものを、より広いお客さま層に紹介したいと考えた」とクリエイティブ・ディレクターの中村ヒロキ。その言葉通り、光と緑に包まれた店内は広く、開放感がある。内装には倉庫で大切に保管してきたアメリカの古い建築材やインテリアをふんだんに使った。廃校になった小学校の床やメンズショップの大きな回転什器、バーカウンターといったアメリカン・ヴィンテージの色濃い世界の中で、伊万里焼や韓国の貯蔵用の壷が不思議と調和している。店の一角にはコーヒースタンド「Little cloud coffee」もあり寛げる空間だ。ウィメンズアイテムも展開していることもあり「女性客が多く、また海外からのお客さまも多くみられる」という。表参道には直営店「F.I.L.」もある。それでも全店が異なる個性を放っているのだから「ビズビム」の奥の深さを実感する。
感度の高いジャイルのお客さまは本物を見抜く力を持っている
マルコ・プロブスト/デルヴォー最高経営責任者
PROFILE:ドイツ生まれ。経営コンサルタントとしてキャリアを積んだ後、ヒューゴ ボスで要職を務める。2010年、クロエのグローバル最高執行責任者(COO)に就任。12年9月から現職。
創業185年の歴史を誇るベルギーのレザーグッズブランド「デルヴォー(DELVAUX)」が8月、日本初の旗艦店をジャイル1階にオープンした。ジャイルの魅力についてマルコ・プロブスト=デルヴォー最高経営責任者は次のように話す。「表参道は、日本文化の発信地。その中でもジャイルは、厳選されたブランドがそれぞれのコンセプトを強く打ち出し、インターナショナルなライフスタイルを発信している影響力の強い商業施設だと思う」。また、ファッションだけでなく、アートとの取り組みも魅力的だという。「『デルヴォー』の価値を世界で一番理解してくれるのは、本物を見抜く力を持っている日本のお客さま。最高級のレザーを、伝統に裏付けられた最高の技術を持った職人が一点一点心を込めて仕上げてゆく、そんなバッグを手にする喜びを日本のお客さまに知っていただきたい。特に感度の高いジャイルのお客さまには、満足してもらえると信じている」。ブランドの持ち味であるアートと革新的なクリエイションを感じさせるショップデザインを手掛けたのは、ルクセンブルクを拠点に活動するマルティーヌ・ファイペルとジャン・ベシャメイユだ。「世界最大級のショップにはアジア圏内で入手困難だった商品がバリエーション豊かに並んでいるので、ゆったりとした空間で、最新のコレクションをご覧いただきたい」。