2012年ロンドンオリンピックの日本選手団
すべての競技会場が決まり、2020年東京オリンピック・パラリンピック(以下、東京五輪)の開催までもうすぐ800日となりました(正確には809日)。すでに多くのメディアがまだ見ぬ未来のメダリストに想いを馳せた報道をしていますが、東京五輪に期待するのはそれだけ?ここでは競技者ではなく、競技者たちが着る公式ウエアに注目!“ファッション血中濃度”の高い「WWD JAPAN.com」の読者の皆様に「公式ウエアのデザインを頼みたいデザイナー」についてアンケートを実施し、1000人以上の方々から頂いた回答をもとにTOP10をご紹介。読者の皆様のご意見はいかがなものか……。想像通り、はたまた想定外のランキングか、ぜひご覧ください。
読者が選んだ公式ウエアのデザインを頼みたいデザイナーTOP10
1
/
10
PHOTO BY IKU KAGEYAMA
1位:川久保玲
PHOTO BY KENTARO OSHIO
2位:阿部千登勢
PHOTO : Brigitte Lacombe
3位 : 三宅一生
PHOTO BY TAKA MAYUMI
4位:山本耀司
5位:森永邦彦
6位:丸山敬太
7位:山本寛斎
PHOTO BY IKU KAGEYAMA
8位:高橋盾
9位:坂部三樹郎
PHOTO BY SHUNICHI ODA
10位:コシノジュンコ
編集部内でも支持率が高かった「コム デ ギャルソン(COMME DES GARCONS以下、ギャルソン)」の川久保玲と、その「ギャルソン」出身の「サカイ(SACAI)」を手掛ける阿部千登勢がワンツー・フィニッシュとなりました。3位は「イッセイ ミヤケ(ISSEY MIYAKE)」の三宅一生。次いで、4位は象徴的なカラーとして黒を用いる「ヨウジヤマモト(YOHJI YAMAMOTO)」の山本耀司。5位はテクノロジーや新技術を積極的に用いた洋服が特徴の「アンリアレイジ(ANREALAGE)」の森永邦彦。以下、「ケイタ マルヤマ(KEITA MARUYAMA)」の丸山敬太、山本寛斎、「アンダーカバー(UNDERCOVER)」の高橋盾、「ミキオサカベ(MIKIO SAKABE)」の坂部三樹郎、「ジュンコ コシノ(JUNKO KOSHINO)」のコシノジュンコと続きました。
全員に共通するのは“パリコレ経験者”
やはり“日本代表”として戦う選手には「日本を代表するデザイナーの洋服を着てほしい」という想いが現れているのか、1980年代から世界に衝撃を与え続ける川久保玲と山本耀司をはじめ、1位から10位の全員がパリコレ参加経験のあるデザイナーいう結果となりました。有名であるとともに実績をともなう人物が選ばれていることから読者の本気度が伝わってきます。
“スポーツ”と“ユニホーム”のイメージを持ちやすい?
「ナイキ」とのコラボスニーカーが登場した「コム デ ギャルソン」2017年春夏パリ・コレクションのルック GIOVANNI GIANNONI / WWD (c) FAIRCHILD PUBLISHING, LLC
2015年6月に発表した「ナイキラボ×サカイ」のサマーコレクション
「ワイスリー」2018-19年秋冬パリ・メンズ・コレクション GIOVANNI GIANNONI / WWD (c) FAIRCHILD PUBLISHING, LLC
「オニツカタイガー」とコラボしたスニーカーを着用した「アンリアレイジ」2018-19年秋冬パリ・コレクション GIOVANNI GIANNONI / WWD (c) FAIRCHILD PUBLISHING, LLC
丸山敬太が手掛けた日本航空(JAL)グループの制服
さらに注目したいのが「ギャルソン」「サカイ」「アンダーカバー」は「ナイキ(NIKE)」と協業を、「ヨウジヤマモト」は「アディダス」とスポーツテイストを特徴とした「ワイスリー(Y-3)」を、「アンリアレイジ」は「アシックス」とコラボしています。また三宅一生は、1992年のバルセロナ・オリンピックのリトアニア代表選手団の公式ユニホームをデザインした経験がある他、青森大学男子新体操部のコスチュームをプロデュースした過去もあります。さらに丸山敬太も日本航空(JAL)グループや建築会社の制服を手掛けた実績を持っているように、海外で活躍する有名デザイナーという要素に加えて、“スポーツ”と“ユニホーム”のキーワードに関連する人物が挙げられているのも興味深い結果です。
READ MORE 1 / 1 スポーツウエアを手掛ける可能性が高いのは「アシックス」?
またスポーツウエアを手掛ける可能性が高いのは「アシックス」
「アシックス」が手掛けた平昌オリンピック、パラリンピックの公式ウエアを身につける日本選手団
「アシックス」が手掛けた平昌オリンピック、パラリンピックの公式ウエア
「アシックス」が手掛けた平昌オリンピック、パラリンピックの公式ウエア
「ポロ ラルフ ローレン」が手掛けたアメリカ選手団の公式ウエアを着用したフィギュアスケート選手のアレックス&マイア・シブタニ兄妹 (c) FAIRCHILD PUBLISHING, LLC
「H&M」が手掛けた平昌オリンピック・パラリンピックのスウェーデン選手団の公式ウエア
日本選手団が身につけるオリンピックのウエアは開会式や閉会式で着用するセレモニーウエアと選手村や競技会場などで着用するスポーツウエアの2種類があります。公式スポーツウエアは東京五輪競技大会組織委員会とゴールドパートナー契約を結んでいる「アシックス(ASICS)」が担当する可能性が高いと言われています。2018年冬季の平昌オリパラでも“PROUD OF JAPAN(日本を、誇れ)”をコンセプトに製作しました。一方、アメリカは「ポロ ラルフ ローレン(POLO RALPH LAUREN)」、イタリアは「アルマーニ(ARMANI)」、スウェーデンは「H&M」とファッションブランドが公式ウエアを作成し、ツイッターなどのSNSでは称賛の声が上がっていました。
「アシックス」には中上級者向けのランニングシューズなど機能性を重視しているイメージがあります。しかし、2020年向けての中期経営計画ではファッションを強める必要があると宣言。オリンピックの公式ウエアは宣伝効果も大きく、企業イメージを変えるチャンスなので、強みである機能面に加え、ファッション性にも注力すると思います。その過程で5位にランクインしている「アンリアレイジ」の森永邦彦が公式スポーツウエアの裏側で関わってくる可能性はあるかもしれません。
56年前の1964年に開催された東京五輪の開会式では、日本は真紅のブレザーに白のスラックスやプリーツのスカートで“日の丸カラー”を取り入れたスタイルを披露し、戦後発展する日本の華々しい印象を世界に与えました。2020年のボランティアのユニホームはすでに決定し、賛否両論でしたが、果たして2020年東京五輪・公式ウエアは日本の良いイメージを世界に与えることができるウエアなのか注目です。
「アディダス バイ カラー」2017年春夏コレクション
「アディダス バイ カラー」2016年春夏コレクション
「アディダス バイ カラー」2016年春夏コレクション
個人の意見としては、“素材、パターン、価格、時代性など様々な角度から一番良いバランスだと思える商品”をコンセプトにしている「カラー(KOLOR)」の阿部潤一デザイナーに担当して欲しいと思っています。パリコレ参加経験もあり、「アディダス」とのコラボ「アディダス バイ カラー(ADIDAS BY KOLOR)」も手掛けています。また阿部デザイナーは業界のプロに同様のアンケートを実施した際は4位にランクイン。東京五輪を特集した「WWDジャパン」(2017年9月27日発売)で是非そちらの詳細もご覧いただければと思います。