ファッション

元コレットのサラに聞く 新会社とこれから

 昨年12月に閉店したパリの伝説的セレクトショップ、コレット(Colette)のクリエイティブ・ディレクターを務めていたサラ・アンデルマン(Sarah Andelman)が、東京ファッション・ウイークに合わせて3月に来日した。コレットの幕を閉じたサラは、コンサルティングの新会社ジャスト アン アイデア(JUST AN IDEA)を設立。現在、世界中のファッション・ウイークを訪れながら、数々の企業とのコラボプロジェクトを仕掛けたり、ポップアップストアを企画したりするなど、いそがしい日々を過ごしている。来日したサラに、新会社やこれまで協業してきた日本のデザイナーについて聞いた。

WWD:コレットの閉店はどのように行った?

サラ・アンデルマン=ジャスト アン アイデア創業者(以下、サラ):コレットの閉店は、ママ(コレット・ルソー=コレット創業者)が自分の時間をゆっくり過ごしたいと引退を決めたことがきっかけ。ママと私はとてもいいチームで動いていたから、彼女なしでコレットを継続することは考えられなかった。ちょうど20周年を迎えて、店が好調なタイミングで閉じたいと考えた。跡地はサンローラン社に譲ったが、コレットの社員全員を同じ給料と契約内容で継続的に雇ってもらえるように交渉した。

WWD:今はどのように過ごしている?

サラ:閉店後は少しゆっくりして、コンサルティングの新会社ジャスト アン アイデアを始動した。今約10のプロジェクトを抱えて、いそがしくしている。この会社はコレットの延長線上にあって、クライアントと特別なプロジェクトを実現できるよう、今も各地のファッション・ウイークを訪れ、アートや音楽も常に最新のものをチェックしている。

WWD:具体的にどのようなプロジェクトに携わっている?

サラ:未発表の内容が多いが、コラボレーションやポップアップストアなど。1つは、オンラインマガジンの「ハイプビースト(HYPEBEAST)」が10月にニューヨーク・ブルックリンで行う音楽やアートを融合したイベントでのポップアップストア。さまざまなブランドに協力していただき商品を並べる予定。

WWD:協業の決め手は?

サラ:好きな人と働きたいと思っている。ブランドのストーリーがあり、熱意があって、興味深い人であること。

WWD:東コレではどのブランドがよかった?

サラ:「ハイク(HYKE)」がよかった。「TTT」「アンブッシュ(AMBUSH)」「ジェニー ファックス(JENNY FAX)」のショーも工夫があって面白かった。また、東京ファッションアワード受賞者の「クオン(KUON)」「ボディソング(BODYSONG.)」もさらなるクリエイションの可能性を感じることができた。

WWD:東京ファッション・ウイークの印象は?

サラ:新しい才能を見つけるにはいい都市だけれど、海外からバイヤーやジャーナリストが気軽に足を運べないことが残念。物理的な距離やコミュニケーションの面などさまざまな理由がある。一方、ファッション・ウイーク自体はよくオーガナイズされていると思う。今季は多くのブランドがヒカリエホールの公式会場以外での場所を選んでショーを見せていて、ブランドの個性を発揮することができていた。パリやミラノ、ロンドン、ニューヨークと、それぞれの都市が個性を持っている。今、コペンハーゲン・ファッション・ウイークも面白くなっている。

WWD:これまで多くの日本人デザイナーと取り組んできた。

サラ:今まで「コム デ ギャルソン(COMME DES GARCONS)」「ジュンヤ ワタナベ・コム デ ギャルソン(JUNYA WATANABE COMME DES GARCONS)」「サカイ(SACAI)」など素晴らしいブランドと仕事をすることができた。特に「ノワール ケイ ニノミヤ(NOIR KEI NINOMIYA)」の二宮啓は本当に才能があると思う。ミラノで発表した「モンクレール ジーニアス(MONCLER GENIUS)」は彼のクリエイションを多くの人に知られる機会になった。

WWD:コレット閉店前の「サカイ」とのイベント「ジャルダン サカイ」は大成功だった。

サラ:短期間で多くのコラボレーションを実現することができて驚いた。「ラコステ(LACOSTE)」とのコラボは、私がフェリペ・オリヴェイラ・バティスタ(Felipe Oliveira Baptista)に連絡をとって、お願いしたもの。大企業とのコラボは半年以上かかってしまうことが多いが、「サカイ」が主導だったので、3カ月でリリースすることができた。千登勢(阿部デザイナー)はオープンマインドでクリエイティブで、私は彼女からインスパイアされ続けている。初めて会った時から、独自のアイデンティティーを持ち、いつも他と異なるための努力をしている。

WWD:将来また新しい店を開きたいと思うか?

サラ:実はまったく小売りの仕事が恋しくなっていない。ショッピングは大好きだけど、ショップを運営することはとても大変な仕事。コレットでは優秀なチームと共に自由にたのしく冒険ができたから、今後はその経験を生かして、他の企業のお手伝いをしていきたい。今の私は影の存在で、クライアントにフィードバックをする役割。それを本当にたくさんの企業が必要としていると実感している。

WWD:次の10年のプランを教えてほしい。

サラ:これからも人に出会うために、たくさん旅行をしたい。国外もフランス国内も。それは、ファッションだけでなく、アートや音楽、食など、さまざまなカテゴリーで枠を飛び越えての旅。1つに縛られないように視野を広くしていきたい。

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