イオンモールによる大型商業施設の新業態「ジ アウトレット 広島(THE OUTLETS HIROSHIMA)」(広島市)が27日、グランドオープンした。
エントランス前には、10時の開店を待ちかねた客約5500人が並び、期待の高さをうかがわせた。24日からのソフトオープンで、すでに広島市内の住民約13万人が来場。吉田昭夫・社長は「従来型のモールのオープンよりも買い上げ率が高く、特にスポーツブランドやラグジュアリーブランドでの買い回りが多かった。また、カーリングやアイスバンパーカーなどのエンタメ施設を利用する人が想定より多かったのと、2000席用意した飲食ゾーンは、昼間ほぼ満席だった。買い物の後、食事を楽しんでもらうというイメージ通りに利用してもらっているように思う」と説明する。
地域創生型商業施設と位置付ける同モールは、「本格アウトレット」「エンターテイメント」「地域との出会い」の3つのコンセプトを柱に、既存のイオンモールとは一線を画すだけでなく、物販と飲食で構成された他のアウトレットモールとも差別化する。その象徴がエンターテインメント施設の充実だ。
「ほしかげシティ」と名付けたエンタメゾーンには、通年型のアイススケートリンク、ボーリング場、最新VR(バーチャルリアリティー)やスポーツシミュレーションゲームを集積。子ども連れや中高生はもちろん、大人のグループの姿も見られた。ボーリング場には、「広島東洋カープ」の球団をデザインモチーフにした真っ赤な「広島東洋カープ」レーンが登場。バーチャルとリアルが融合した新感覚スポーツゲーム「レジェンドベースボール」は、ここにしかない「広島東洋カープ」の球団デザインの特別仕様だ。近隣に住む若いカップルは「2人ともスポーツが好きなので、カーリングやVRに挑戦したい。ここにはなんでも揃っているので1日中遊べるのがいい。毎日でも来たい」とうれしそうに話した。
1階のレストランやフードコートでも広島名物や瀬戸内・山陰の特産品売り場など地元色を出した。モール初出店のテナントが多く、中四国初の「とり専門店 鳥さく」や、地元のお好み焼き「鉄ぱん屋 弁兵衛」には大勢の客が並んだ。
2階のアウトモールは広島初出店119店舗を含む129店舗が出店し、中四国最大級の規模になる。国内アウトレットモール初出店の「H&M」や「ジル スチュアート(JILL STUART)」も人気を集めていたが、最も目立ったのは「コーチ(COACH)」のショッパーを持った人たちだった。「コーチ」で10万円以上購入した20代の夫婦は「今までは倉敷のアウトレット(三井アウトレットパーク倉敷)に行っていたが、好きなブランドがそろっているのでこれからはこっちに来ると思う」。山口県岩国市から来た女性も「洋服はいつも広島市内で買うが、ここなら車で40分で来られて、しかも安い。次回は家族と一緒に来たい」と話す。
吉田社長は「われわれがベストチョイスと思っているこのフォーマットがどう支持されるか、今日は手応えを得ることができた。だが、土日の広域からの来館者にリピートしてもらえるかどうかが課題。さらにインバウンドも取り込めるよう誘客活動に力を入れていきたい」と話す。軌道に乗れば増床も検討中する。