バッグ&シューズブランドの「ヒロフ(HIROFU)」は1977年、紳士靴からスタートし40年が過ぎた。現在はバッグとシューズが9:1の割合で、女性客が9割を占める。母子そろっての来店や、祖母から受け継いだバッグを愛用する若年層のファンも多い。リピーター率が高い分、客の目も肥えており、質を高める努力は欠かせない。
コンセプトは“シンプル”“ミニマル”“コンテンポラリー”だ。主な販路は全国の百貨店で、通年でレザーアイテムのみを販売する。革の供給元はヨーロッパ。全てのバッグを日本で企画し、イタリアで生産する。中心価格帯は6万5000~7万5000円だ。
販売においては対面主義を徹底し、ECやSNSは使わない。その理由について広報担当者は「実際に触れ、匂いを嗅ぎ、自身の目でジャッジし納得していただきたいから」と答えた。そしてせっかく手に入れたなら「長く使っていただきたい」と、作り手の自己満足なデザインではない “シンプル”“ミニマル”“コンテンポラリー”を追求する。
長く使うためにはメンテナンスが必要だ。女性客は男性客に比べて革の手入れに不慣れなイメージがあるが、「販売員はバッグやシューズのケアについて教育を受けており、それをお客さまに伝えている。われわれにはモノを生み出した責任があり、最大限フォローしていきたい」とコメントした。「ヒロフ」では部材もほぼオリジナルで、修理依頼があった際に可能な限り純正パーツで対応したいとの思いから、古いものでは30年間保管している。
過去を振り返り「ようやく土台ができた。ここから木がどう育っていくのか楽しみだ」と未来を見る。そして「ある意味、鈍くさいのだと思う(笑)。ただし40年間コツコツやってきた結果が、今の『ヒロフ』を形成している」とした。継続がブランドの価値を作り、顧客の安心と信頼につながっている。
40周年を記念して、アニバーサリーアイテムも発売した。例えば、鹿革を上下に1枚ずつ、2枚で本体を構成した巾着タイプのバッグは、縦にはぎがなく美しいシェイプを描く。「歴史にあぐらをかかずにブランドの幅、可能性を広げていきたい」という。
コンセプトがぶれない「ヒロフ」では、数十年前に買ったアイテムと新作がコーディネートできる。「きちんとしたモノを作らなくてはいけない」と襟を正し、今後については「よりよいモノ、より楽しいモノを作っていきたい」と結んだ。