「メゾン マルジェラ(MAISON MARGIELA)」が、メゾン初となるメンズのオートクチュール“アーティザナル”に挑んだ。メンズのプレタポルテはこの秋、ウィメンズのパリ・ファッション・ウイーク期間中に発表する。
ジョン・ガリアーノ(John Galliano)=クリエイティブ・ディレクターは、「メゾン マルジェラ」の本質である相反する要素の融合と、自身が得意とするバイアスカット(優雅なドレープを生むため、生地を斜めに断ち切ること)を根幹にコレクションを組み立てた。
相反する要素の融合は、どのルックを見ても明らかだ。ファーストルックは、ブリティッシュチェックのツイードジャケットにパテントレザーのパンツ。すでにトラッドとフューチャリスティックという真逆のテイストが同居しているが、前者をオーバーサイズ、後者をボディコンシャスにすることでシルエットのコントラストも追求する。単品レベルで見ても、チュールで作ったカーゴパンツは、繊細な素材で作った無骨なミリタリー。ビンテージ風の着物地で作ったスニーカーは、オリエンタルとウエスタンの融合。ブロケードのGジャンはノーブルとストリートのミックスなど、ことごとく真逆のテイストを組み込んだ。
バイアスカットは、コートやスーツなど、メンズのフォーマルに取り入れた。ドレスと違い、スーツは生地をバイアスに断っても、ドラマチックなドレープは生まれない。しかしチェック柄は斜めに傾き不思議な視覚効果を生むし、構築的なスーツにも柔らかさが残る。厳格と柔和。スーツにバイアスカットを用いることで、ここでも相反する要素を融合した。チュールやPVCなど、肌が透ける素材も多用したメンズは、荒々しくも官能的だ。
コレクションは、前任マルタン・マルジェラ(Martin Margiela)色が薄まり、ガリアーノ色を増した。これに対しては賛否両論があるかもしれない。しかし、アーティザナルラインの正式名称は、「メゾン マルジェラ “アーティザナル” デザインド バイ ジョン ガリアーノ(MAISON MARGIELA 'ARTISANAL' DESIGNED BY JOHN GALLIANO)」。ガリアーノ色が強くなるのは、当然のことだ。