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ナイキが“制した”ロシアW杯

 約1カ月間にわたって熱戦が繰り広げられた2018年FIFAワールドカップ ロシア大会(2018FIFA World Cup Russia以下、W杯)は、フランス代表の20年ぶり2度目の優勝で幕を閉じた。


FIFAが製作した2018年FIFAワールドカップ ロシア大会総集編

 今大会は強豪国イタリアとオランダが予選敗退により出場せず、前回大会優勝国のドイツがグループリーグで姿を消し、アフリカ勢は36年ぶりにグループリーグで全滅。“史上最弱”と酷評されていた開催国ロシアがベスト8を懸けた試合で無敵艦隊スペインを敗る大番狂わせを見せたり、われらが日本もW杯史上初となるアジア勢による南米勢撃破の大金星をあげたりと波乱が続き、国際サッカー連盟(FIFA)のジャンニ・インファンティーノ(Giovanni Infantino)会長にも「史上最高のW杯」と言わしめるほどの盛り上がりを見せた。

 “史上最高のW杯”はデータでも裏付けられている。英「BBC」によると「90分以降のゴールが決勝点となった試合が歴代最多の9試合」「準決勝まで残った4カ国の合計優勝回数がわずか2回(フランスとイングランドの1回ずつ。クロアチアとベルギーは初優勝の可能性があった)」「“サッカーの王様”ことペレ以来の10代選手(キリアン・ムバッペ)による決勝戦ゴール」などが挙げられる。

 加えて、ナイキ(NIKE)が発表したデータも面白い。ナイキは出場全32カ国中10カ国にユニホームを提供しており、半数にあたる5カ国がグループリーグを突破した。そして準決勝まで勝ち進んだ4カ国のうち、フランス、クロアチア、イングランドの3カ国がナイキのユニホームを着用し、決勝の舞台に立ったフランスとクロアチアはともにナイキだった。ナイキがユニホームを提供する国が優勝するのは02年のブラジル以来12年ぶり。14年の覇者ドイツと10年の覇者スペインのユニホームはアディダス(ADIDAS)、06年の覇者イタリアはプーマ(PUMA)だった。

 さらに興味深いのは、全出場選手の65%がナイキのスパイクを着用し、全64試合で生まれた169ゴール中100ゴールがナイキのスパイク着用選手によるものだということだ。8年前の南アフリカ大会では着用率が50%を下回っていたが、4年前のブラジル大会では53%まで着用率を上げ、今大会でさらに数字を伸ばした。

 このことから当然といえば当然だが、「ゴールデンボール(大会MVP)」を受賞したクロアチア代表ルカ・モドリッチ(Luka Modric)をはじめ、「ゴールデンブーツ(大会得点王)」受賞のイングランド代表ハリー・ケイン(Harry Kane)、「ゴールデングローブ(大会最優秀ゴールキーパー)」受賞のベルギー代表ティボ・クルトゥワ(Thibaut Courtois)、「最優秀若手選手賞」受賞のフランス代表キリアン・ムバッペ(Kylian Mbappe)と、各個人賞を受賞したすべての選手がナイキ契約選手という結果に。国同士の威信をかけたW杯の裏で、各スポーツメーカーも覇を競っていたわけだが、今大会を“制した”のはナイキだったようだ。

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