ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領の長女、イヴァンカ・トランプ(Ivanka Trump)が設立したブランド「イヴァンカ トランプ(IVANKA TRUMP)」が廃止されることになった。
2007年にファインジュエリーからスタートした同ブランドはウィメンズウエア、シューズ、バッグ、アクセサリー、フレグランス、デニムなどのカテゴリーにまで拡大してきた。ドナルド・トランプが米大統領に就任する以前の年間売上高は1億ドル(約110億円)と推定される。イヴァンカ自身はドナルド・トランプが米大統領に就任する前に同ブランドを去り、夫のジャレッド・クシュナー(Jared Kushner)米大統領上級顧問に合わせてワシントンに拠点を移し、17年に大統領補佐官に就任している。
イヴァンカはブランド廃止について声明で「ブランドをスタートしたとき、こんなに成功するとは誰も思わなかったと思う。ワシントンで17カ月過ごし、ブランドビジネスに復帰する可能性は不透明だったが、しばらくはワシントンでの仕事に集中することは明らかだった。だからこのタイミングで決断を下した。非常に多くの女性と私自身もインスパイアされてきた素晴らしいチームに感謝している」と語っている。
しかし、トランプ政権関連商品を販売している企業リスト「#GrabYourWallet(買ってはいけない)」を製作し「イヴァンカ トランプ」の不買運動を呼びかけたマーケティング・コンサルタントのシャノン・クルター(Shannon Coulter)は「ワシントンでの仕事がブランド廃止につながったとは考えにくい。秋冬シーズンが近づく中で、主要なリテーラーで扱われていないという状況を避けたかったのだろう。不法移民の親子引き離し政策の影響で、トランプ政権関連の商品を販売することは人種差別・外国人差別と消費者が考えるようになった。ここ8週間ほど、小売業者はプレッシャーを受けていた」と分析している。
16年9月時点で「イヴァンカ トランプ」はロード&テイラー(LORD & TAYLOR)やノードストロム(NORDSTROM)、「ザッポス(Zappos)」「アマゾン(Amazon)」など世界の800以上の百貨店やECサイトで取り扱われていた。しかし近年では、17年2月にノードストロム(NORDSTROM)が取り扱いを中止。さらに、署名収集サイト「ケア2(Care2)」が同ブランドの商品の取り扱い中止を求め1万8000近くの署名を集めたことを受け、18年7月初旬にハドソンズ・ベイ(HUDSON’S BAY)が取り扱いを中止した。同サイトはロード&テイラーにも取り扱い中止の嘆願書を提出していた。
「イヴァンカ トランプ」は18年初めに公式ECサイトを立ち上げた他、18年末には新店舗をニューヨークのトランプタワーにオープン予定だった。また、同ブランドのメーンライセンシーであるG-IIIアパレル・グループ(G-III APPAREL GROUP)は18年末までは配送を行う予定だ。なお、日本はサンエー・インターナショナルが提携交渉をしていたが17年6月に交渉を停止している。
「イヴァンカ トランプ」の廃止によって影響が出る従業員数、および現在の取扱店舗数についてのコメントを同ブランドは拒否した。