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官民出資のクールジャパン機構が戦略転換「今後は精度高め、大型化」

 ファッションや飲食、アニメの海外進出を支援する官民出資のクールジャパン機構(正式名称:海外需要開拓支援機構)は経営陣を一新し、戦略を大きく転換する。6月29日付で、元ソニー・ミュージックエンタテインメント代表取締役の北川直樹氏が代表取締役CEOに、投資会社ペルミラ・アドバイザーズの日本法人トップを長らく務めた加藤有治氏が専務取締役COO兼CIOに就任した。これまで会長と社長を含め8人体制だった取締役メンバーを北川CEOと加藤専務COOの2人体制に変更。北川CEOは「今後は私と加藤専務COOに加え、以前から在籍している若井英二・専務執行役員(経済産業省から出向)の3人で投資案件などをスピーディーに上げていきたい。もちろん投資案件の最終決定は従来どおり海外需要開拓委員会で行っていくが、速やかに意思決定できる体制が必要だ」と今後の意気込みを語った。

 また、北川CEOは「クールジャパン機構の役割は官民出資で投資案件や条件がかなり限定されていて、しかもリスクを取らねばならない、という非常に難易度の高いミッションで、しかも未知の領域だった」ことを前提としつつも、「過去の投資を検証した上で、今後は精度の高い投資を行っていく」として、投資方針を大きく転換する。

 同機構が公表した事業報告書によると、18年3月末までの支援件数は29件・支援金額累計620億円に対し、純損失は39億円。イグジットは2件にとどまっている。設立して5年で累計損失は97億5000万円に達している。加藤専務COOは「1つの案件に対して基本的にイグジットは5〜10年。投資の開始は2014年からなので原則19年度が本格的なイグジットのタイミング。現時点のイグジットやバランスシートについてコメントする意味はあまりない。過去の投資案件はほとんどがおおむね順調に推移している」としながらも、新たな投資方針として「ゼロからの新規事業立ち上げよりも、ある程度数字の見えているキャッシュフロー投資を重視しながら、今後は精度を高め、人件費も含めたコストに見合う大きな投資を行っていく」。

 同機構や産業革新機構などを含めた14ある官民ファンドは再編がたびたびメディアで報じられてきた。北川新体制には過去の投資案件をうまく軌道に乗せ、この1年でイグジットを成功裏に導きつつ持ち込みつつ、新規プロジェクトで早急にわかりやすい成功案件を立ち上げるという難しい舵取りが迫られている。

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