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ファーフェッチの上場計画の詳細が明らかに ケリング創業一家の投資会社も興味示す

 ラグジュアリーEC企業大手の英ファーフェッチ(FARFETCH)の新規上場(IPO)に関する売り出し価格や公募株数などの詳細が、米証券取引委員会(Securities and Exchange Commission)に提出されたレポートで明らかになった。さらにこのレポートによれば、「グッチ(GUCCI)」や「バレンシアガ(BALENCIAGA)」などを擁するケリング(KERING)のフランソワ・アンリ・ピノー(Francois Henri Pinault)会長兼最高経営責任者(CEO)一族のプライベート投資会社、アルテミス(ARTEMIS)がファーフェッチの株式買収に興味を示しているという。

 アルテミスはファーフェッチの株式を購入することに関して具体的な合意や契約はしていないが、レポートでは、アルテミスが「このクラスA普通株式を、購入する可能性を否定しない」とし、ファーフェッチは「アルテミスに株式を売却する可能性はある」としている。

 曖昧な表現だが、アルテミスはクラスAの普通株式5000万ドル(約55億円)を購入することに関心を示しているという。レポートにはファーフェッチの売り出し価格は15~17ドル(約1650~1870円)とあるため、この中間価格をとる価格の16ドル(約1760円)で考えれば310万株に相当する。IPO目論見書では、ファーフェッチはクラスA株式を3750万株売り出す予定で、クラスBの普通株式はIPOでは販売されず、ジョゼ・ネヴェス(Jose Neves)創業者兼CEOがこの受益権を有するとしている。クラスBの株式を保有することでネヴェス創業者兼CEOは、IPO後の同社の発行済み株式の議決権の78%を支配することになる。投票権と転換権を除き、クラスAおよびクラスBの株主の権利は同等だ。

 このクラスAとクラスBという2つのクラスの株を発行する仕組みはデュアル・クラス・ストックと呼ばれ、両クラスの株式の金銭的価値は同じだが、各株に付帯する議決権に差をつけることができ、持株比率と議決権の比率を分離することによって、株式市場からの資金調達という上場会社のメリットと、創業者や経営者が会社のコントロール権を持ち続けるという非上場のメリットとの両方の利点を享受できる。グーグル(GOOGLE)やフェイスブック(FACEBOOK)もこの方式を採用している。

 ファーフェッチのニューヨーク証券取引所への上場日は9月21日。売り出し価格を16ドル(約1760円)とすると調達額は約6億ドル(約660億円)、時価総額は42~49億ドル(約4620~5890億円)となる。株式シンボル表記はFTCH。同社は、IPOによって得た資金は「買収を含む企業成長やその他一般的な企業目的のために使用する」としている。

 IPO目論見書によれば、6月30日時点でファーフェッチは同社のECサイトを190カ国で展開しており、230万人以上のユーザーと980以上の出品者を抱える。出品者のうち小売業者は3分の2、残りはブランドが占め、取り扱いブランド数は3200以上。6月30日までの半年間の顧客1人あたりの平均注文額は約622ドル(約6万8000円)だ。

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