中国のスポーツウエア企業、アンタ・スポーツ・プロダクツ(安踏体育用品、ANTA SPORTS PRODUCTS以下、アンタ・スポーツ)は、投資会社ファウンテンヴェスト パートナーズ(方源資本、FOUNTAINVEST PARTNERS)と共に、「アークテリクス(ARC'TERYX)」や「サロモン(SALOMON)」などのブランドを擁するフィンランドのアウトギアメーカー、アメア スポーツ(AMER SPORTS)を47億ユーロ(約6016億円)で買収する提案をした。
香港証券取引所にアンタ・スポーツが提出した声明では、同社が結成した投資家組合で1株当たり現金40ユーロ(約5120円)換算で買収オファーをしたという。買収にはアメア スポーツ株主の90%以上の合意が必要となる。
中国のスポーツウエアのカテゴリーで最大規模であるアンタ・スポーツの2017年の売上高は167億人民元(約2672億円)。平昌オリンピックとリオデジャネイロオリンピックでは中国チームにウエアを提供した。また「フィラ(FILA)」などのブランドの中国での販売権も有している。近年はグローバル化を進めるべく買収を模索してきた。アメア スポーツを買収することによってブランドポートフォリオを強化し、22年に開催される北京冬季オリンピックで中国政府のバックアップを得るのに有利になる。
アメア スポーツは「アークテリクス」「サロモン」の他、スウェーデンのファッションブランド「ピーク パフォーマンス(PEAK PERFORMANCE)」や、スポーツグッズブランドでテニスラケットのメーカーの「ウィルソン(WILSON)」、野球バットメーカーのルイビルスラッガー(LOUISVILLE SLUGGER)などを傘下に抱える。
投資銀行ジェフリーズ(JEFFERIES)のアナリスト、ジェシカ・フェイ(Jessica Fei)は、「アンタ・スポーツはブランドの中国市場におけるローカライズ化に長けている。一方アメア スポーツの17年の中国での売上高は前年同期比15%増の1億2000万ユーロ(約153億6000円)と、まだまだ小さい。アンタ・スポーツはファウンテンヴェスト パートナーズの他にも共同出資者を募る可能性が高いが、いずれにせよアンタ・スポーツはアメア スポーツの過半数株式を買収してビジネスのコントロール権を握るだろう」と分析する。