「イッセイ ミヤケ(ISSEY MIYAKE)」は28日、パリで披露した2019年春夏ウィメンズ・コレクションで新素材“ドウ ドウ(DOUGH DOUGH)”を発表した。ドウとは英語で“パン生地”を意味する言葉。その名の通り、丸めたり、ねじったり、伸ばしたりすることで、ぐにゃっと形を変化させることができる形状記憶素材だ。見た目はさらっとしていて、とても軽やか。ポリエステルの繊維を熱加工せずに生の状態で用いた。この “ドウ ドウ”シリーズを着用したモデルたちはランウエイを歩きながら、服や帽子を触り、自由に形を変えてみせた。
ドレスの形は異なって見えるが、実は広げると全てのウエアが四角く、一枚のシートのようになっている。素材を発明した宮前義之デザイナーは「人間は手を使って歴史を作ってきた背景から、モノ作りの原点を考えた。今の時代だからこそ、“もっとファッションは自由でいい”ということを伝えたい。今日は僕らが形を提案したが、その先はお客さまが自由に毎日の生活の中で変えていってほしい」と語る。今後もこの素材の発展形を見せていく。
躍動感のあるカラフルなペイント柄はホウキを使って描いた。「大きい筆を探していた時に、身近なものを使って身近にホウキがあったので採用した。従来、机で描くモチーフよりも、身体を動かしながら描いたので強い柄を作ることができた」と宮前デザイナー。今季のショーにはブランドの代名詞でもあるプリーツアイテムは登場しなかったが、今回の柄をプリントした定番のプリーツシリーズや“ベイクドストレッチ”、“スチームストレッチ”などのコマーシャルピースを店頭に並べる。