アダストリアの20代後半〜30代女性向けブランド「アンデミュウ(ANDEMIU)」が5日、エウレカが運営する恋愛・婚活マッチングアプリの「ペアーズ(Pairs)」との共同プロジェクト「恋愛コーデ研究所」を開始した。まずは累計会員数が800万人を超える「ペアーズ」の男性利用者約8000人への調査を実施、男性に好印象を抱かれる女性のタイプや職種・世代ごとの傾向を分析した。調査結果をもとに、ブランドの公式サイトで「『いいね』がもらえる好印象コーデ」と題したコンテンツを公開。特に男性人気の高かった「親近感女子」「奥ゆかしい女子」を表現したスタイリングなどを紹介した。今後は「デートに最適なコーデ」「お付き合いのための鉄板ファッション」などのコンテンツを制作するとともに、共同イベントなども実施予定という。
アパレル企業とマッチングサービスのコラボは珍しいが、「出会い」において「ファッション」は不可欠な存在だ。コラボについて栄木雅人アダストリア アンデミュウ営業部部長は、「すでに語り尽くされているライフスタイルという切り口ではなく、われわれがターゲットとする働く女性にとっての恋愛・結婚という“ライフイベント”に対して提案をしたいと考えていた」と話す。これまで雑誌でも「モテコーデ」という切り口は山のようにあったが、「雑誌はあくまで『誰かのためのモテコーデ』。一人一人の悩みに近づくものではない。今回はデータをもとに根拠のある提案ができるはずだ」と、その違いを説明する。
「ペアーズ」としてもこうしたアパレルとの取り組みは初めてだ。中村裕一エウレカ最高製品責任者(CPO)兼最高マーケティング責任者(CMO)も、「マッチングサービスを利用する人には結婚というゴールがあるにもかかわらず、マッチング以後のサポートをわれわれができないというジレンマがあった。ファッションのプロと組むことで、ファッションに関する調査・結果のアウトプットができると考えた。今後、メンズファッションでも同じことをやりたい」と話す。
「ペアーズ」は2009年にスタートしたサービスだが、ユーザーが自由に作成できるコミュニティー・タグベースでのマッチングや安心・安全さの徹底が奏功し、利用者を伸ばし続けている。「昨対ベースでの成長率が年々伸びていることからも、オンラインマッチング市場が伸びていることは明らか。恋愛離れという意見もあるが、決してそうではなく、“恋愛の優先度”が下がっただけ。優先事項が増え、お金も時間もない若者にとって、安価で安全なマッチングサービスは絶対にニーズがあるはずだ」と中村CPO兼CMO。
サイバーエージェント傘下のマッチングエージェントによると、オンライン恋活・婚活マッチングサービスの国内市場は2018年現在の374億円から23年には852億円に拡大すると予測される。オンラインマッチング市場がさらに盛り上がるのは事実だろう。そんな中で、相性のいいアパレル企業としても、今後の可能性は大きい。栄木部長は、「今回の調査結果からも、具体的にアパレルとしてできることが明確に見えたことは良かった。今後は調査をもとにオリジナルアイテムにも挑戦したい。ただ、われわれの提案が絶対的な正解というわけではなく、これはあくまで一つのものさし。洋服はツールでしかなく、ブランドとしてライフイベントを通る女性に対する問いかけこそが意味のあることだ」と強調する。