カリフォルニア州は、米国で初めて動物実験を行った化粧品の輸入・販売を禁止する。施行は2020年1月1日からで、違反した場合は初回に5000ドル(約57万円)の罰金を、違反状態が続いた場合は1日ごとに1000ドル(約11万円)の追加罰金を課す。
施行前に動物実験を経て製品化された化粧品や成分は対象外になる可能性がある他、施行開始から180日間は猶予期間として、違反製品であっても販売などを認める予定。また、州法や連邦法で動物実験が求められているもの、代替実験が困難な場合は例外的に認める。アメリカ食品医薬品局は、化粧品の安全性確認のために何かしらの適切な試験を行うよう、メーカーに求めている。
化粧品にまつわる動物実験廃止の流れは2000年代以降各国で活発になっており、1990年代から欧州議会を中心として段階的に取り組んでいたEUは、2013年に製品製造や成分開発時の動物実験や、動物実験を経た製品や成分の輸入・販売なども全面的に禁止。その流れは世界各国に広がり、インドやイスラエルなども全面禁止にしている他、アメリカ、カナダ、オーストラリアなど多数の国で規制や禁止に向けた法整備が進んでいる。
カリフォルニア州では代替法が確立されているものに関する動物実験を禁止した2000年以降、製造や成分開発など、段階的に動物実験廃止に向けて動いていたが、18年2月には輸入・販売含めた禁止議案を議会に提出。8月31日に満場一致で可決されていた。
なお、日本では関係各省庁によって「動物実験などの実施に関する基本指針」が策定されているものの、実験廃止などの法改正には至っていない。しかし、資生堂は13年4月から開発に着手する化粧品・医薬部外品の動物実験を廃止。マンダム、コーセー、花王・カネボウ、ポーラ・オルビス、ロート製薬など、多くのメーカーや原料製造企業も追随し、世界的な流れに合わせた企業主体の取り組みを行っている。また、マンダムは代替法開発のための研究助成を行っている他、16年に世界共通の公的試験法に承認された、資生堂と花王が共同で開発した皮膚感作性試験の代替法「エイチクラット(H-CLAT)」など、動物実験廃止後も安全性の高い製品・成分開発を行うための代替法研究が進められている。