ニット機大手の島精機製作所の18年4〜9月期決算は、売上高が前年同期比20.7%減の281億円、営業利益が同46.1%減の43億円、経常利益が同47.9%減の46億円、純利益が同49.3%減の33億円の大幅な減収減益になった。要因は、横編み機事業で売上高の2割を占めるバングラデシュでの政情不安による設備投資需要の減退と、急成長を続けてきたニットシューズのアッパー分野での競争激化。10月24日に通期予想も含め、大幅な下方修正を発表すると株価は2日連続でストップ安に追い込まれ、ピークの1月8日に8190円にまで一時上昇していた株価は、昨日10月29日には2821円と最安値を更新した。
島三博・社長は「横編み機に比べ安価な丸編み機や廉価な中国製の横編機などとの価格競争に巻き込まれた。ニットシューズ自体は拡大基調にあるし、以前にもアパレル分野で同様の価格競争に巻き込まれたものの、結局は価格は高くても生産性の高さで勝っている当社製の機械に戻ってきた」経験を踏まえ、「そう心配はしていない。だが、ただ待っているだけのつもりはない。やられたらやり返す。当社の強みは自社で開発したソフトウエアによるバーチャルサンプル提案など、デザインから生産までのトータルデザインの提案力。ビジネスモデルそのものを変革することで、高価格レンジだけでなくミドルレンジ以下のボリュームゾーンも取りに行く」と雪辱を誓う。特にスニーカー分野は2020年のオリンピックイヤーを前に新商品の開発が下期から本格化することもあり、「下期からフルスロットル。来年1月の第4四半期から上向かせる」と意気込む。
一方で、開発後20年目を迎える無縫製ニット「ホールガーメント(WHOLEGARMENT)」機は好調を続けている。上期の販売台数は前年同期の422台と比べほぼ倍増の820台になった。「ドイツとアメリカを回ってきたが、アパレル生産の自動化に向けた盛り上がりがますます加速していることを実感した。通期で『ホールガーメント』の販売は2000台の大台に乗せ、通期で主力の横編み機事業の5割を突破させる」という。
なお、本日10月30日の終値は前日比で5.45%高い2998円だった。