H&Mジャパンは12月5日から、プラスチック製のショッピングバッグ(買い物袋)を紙製に順次切り替えるとともに、有料化する。欧米やアジアなどの約30カ国では、既に9月から紙製バッグへの切り替えを始めている。「売上高世界第2位のファッション企業として、その規模を生かし、循環型消費の構築に貢献していくことがわれわれの使命」と、ルーカス・セイファート(Lucas Seifert)=H&Mジャパン社長は話す。2020年には、国内でのショッピングバッグ使用量を前年の半分にまで削減することを目指す。
日本国内の全88店で、12月5日に紙製バッグへの切り替え・有料化を開始する。アクセサリー包装用の最小サイズの紙袋は無料だが、それ以外のサイズは一律20円。そこから生産コストを除いた余剰金を、NGO団体のWWFジャパンに寄付する。WWFジャパンは、日本周辺の海洋プラスチックごみ汚染に対する取り組みに寄付金を充てるという。
同社はこれまでのプラスチック製バッグ年間使用量などを公表しておらず、紙製バッグへの切り替え・有料化によって期待できる具体的な削減量や寄付金額なども非公表。ただし、「現在の国内店舗数は88だが、2019年には100を超える計画で、将来的には200店前後を目指している。相応のインパクトはある」と期待する。また、既に数年前にショッピングバッグの有料化に踏み切っていたイギリスでは、「有料化後の1~2年で、ショッピングバッグ使用量を61%削減できた」(同社のCSR担当者)という。
プラスチック製バッグの在庫がある店舗では12月5日以降もプラスチック製を使用するが、紙製と同様に有料化する。日本で使用する紙製バッグは日本製で、持続可能な森林利用と保護のための制度であるFSC認証を受けた紙材、もしくは100%再生紙を使用しているという。消費者には、紙製バッグの繰り返しの使用や、店頭で200~300円で販売しているオーガニックコットン製のトートバッグをショッピングバッグの代わりに使用することなどを呼びかける。
H&Mグループは、環境負荷を減らす循環型消費構築のために、13年に開始した店頭での古着回収や、循環型消費に寄与するアイデアを表彰する「グローバル・チェンジ・アワード」なども行っている。