時計担当になって半年。メンズファッション畑で18年間仕事をしてきましたが、不思議と時計には縁がありませんでした。駆け足であれこれ見た中で一番驚いたのが、スイスの超高級時計「リシャール・ミル(RICHARD MILLE)」の存在でした。だって、平均単価が2000万円だっていうんですもの!北は北海道から南は鹿児島まで、百貨店の時計バイヤーから「300万~500万円の高級時計が売れている」とは聞いていましたが、ケタが違います。
新担当としては「こんなに分かりやすく興味深い取材対象はない!」というわけで、さっそくリシャールミルジャパンの川﨑圭太・社長に話を聞いてきました。川﨑社長は何ともサービス精神旺盛な方で、何でも(ときに話してはいけないことまで!?)オープンに話してくれる、新担当にとても優しい方なんです。
と、その前に「リシャール・ミル」について、ちょっとお勉強。同ブランドは、フランスの老舗ジュエリーブランド「モーブッサン(MAUBOUSSIN)」などでマネジメントを務めたリシャール・ミルによって2001年にスタートしました。ミルさんは時計師でもデザイナーでもなく、自らをウオッチコンセプターと名乗っています。自由な発想から生まれるアイデアを詳細にデータ化して、それを具体化するのに最適な専門家や外部サプライヤーを選び出し、発注しているんです。時計には、高い剛性と耐食性を持つ一方で切削・加工が極めて難しいチタン合金“グレード5”をはじめ、航空宇宙産業やF1で使われるハイテク素材と技術を惜しみなく使っています。
かくして川﨑社長の発言。「2018年9月期で、売上高が初めて100億円を突破しました。104億5000万円です」。まさに急成長!リシャールミルジャパンを設立した10年から、9年連続で2ケタ成長を続けているんです。
100億円という、分かりやす過ぎる目標を達成したばかりの川﨑社長に、次なる目標について聞くと、「例えば売上高を200億円にすることは考えていませんし、そもそも生産数は世界で5000~6000本が限界です。だからこそ、お客さまにしっかりと“価値”を届けたいと思っています」との回答。一方で「複雑時計を得意とするスイス屈指のムーブメントメーカー、ルノー・エ・パピ(RENAUD ET PAPI)を超えたいと本気で思っているんです!」と熱っぽく語ってくれました。
「リシャール・ミル」は6月に、自社製自動巻きトゥールビヨンを搭載した“RM 71-01 オートマティックトゥールビヨンタリスマン(RM 71-01 AUTOMATIC TOURBILLON TALISMAN)”を販売したんですが、川﨑社長は「これを進化させる」考え。ちなみに同モデルのお値段は4530万円です!!
11月12日発売の「WWDジャパン」では「リシャール・ミル」絶好調の理由を解説していますので、ぜひご一読ください。ヒントは「直営店化」と「認定中古」……です。