ファッション

キム・ジョーンズ率いる「ディオール」の東京ショーに高さ11mの女性型ロボット像 空山基とコラボ

 キム・ジョーンズ(Kim Jones)率いる「ディオール(DIOR)」の2019年メンズ・プレ・フォール・コレクションが11月30日20時に、東京で開催される。そのランウエイセットの要となる高さ11mもの女性型ロボット像を手掛けるのは、日本人アーティストの空山基(そらやまはじめ)だ。

 「ディオール」史上初となるメンズのプレ・コレクションのショーについてキムは「パリで発表したものと同じくらい大きく、印象的なものにしなければならない。日本だけでなく、世界に語りかけるグローバルイベントだ」と意気込む。

 これまでに100回以上、そして今年はすでに5回も日本を訪れたというキムは、自他共に認める大の日本好きだ。キムは長年空山の作品を追ってきたが、今年の夏に空山が開催していた展覧会で本人と対面を果たしたという。その後すぐに空山のスタジオでコラボの可能性について話し合った。空山は「本当に信じられない速さで全てが進んだ。時間がなかったからもっと小さなプロジェクトになると思っていた。こんな大きなプロジェクトになると知ってたら、もっと時間をかけたのに」と、コラボの実現の速さに驚きを見せる。

 キムが選んだのは、空山が1980年代に手掛けたイラストで、のちに彫刻作品になったもの。今回のショーではこれを高さ11mの巨大な像に仕立てる。「『ディオール』は35年かけてやっと僕に追いついたみたい」と空山は冗談を飛ばすが、富山の工場からアルミ部品が届いたのはショー開催のわずか2週間前のことだった。これをシルバーのミラーペイントで仕上げるという。

 空山はセットにとどまらず、このシーズン限定の「ディオール」のロゴや今回のコレクションのカギとなる桜のプリント、「ディオール」のモノグラムも手掛けた。いずれも空山のフューチャリスティックな世界観が反映されたものだ。キムは空山を「日本には村上隆や草間彌生ら素晴らしいアーティストがいる。彼もそのレベルのアーティストだと思うが、そこまで知られていない」と評価し、「彼とコラボして何か新しく面白いものを作るのは楽しかったし、彼が作った像も強い女性型ロボットで、今の時代に合っていて気に入っている。それに、映画『メトロポリス』もイメージしていた。この女性はこの映画から出てきたイメージなんだ。僕らが(東京という)メトロポリスにいることも関係している」と話す。キムはコレクションで、空山の作品にインスパイアされたメタリックな素材や光り輝くアイテムを披露するという。

 キムはパリで披露した「ディオール」でのデビューショーでも、カウズ(KAWS)とコラボし、ランウエイの中心に巨大なムッシュ・ディオールのアバターを設置した他、コレクションピースでもコラボしている。こうしたアーティストとのコラボについてキムは「ムッシュ・ディオールはクチュリエになる以前はギャラリストとして、ピカソ(Picasso)やサルバドール・ダリ(Salvador Dali)といった当時をけん引したアーティストたちと協働していた。カルチャーは今のファッションにとってとても重要だ。だからカウズや空山と働くことは面白いと思ったし、ムッシュ・ディオールの言葉は『ディオール』というブランドと同じかそれよりも重要だ」と、自身とアーティストたちとのコラボはムッシュ・ディオールの人生からインスパイアされていることを明かした。

 さらにキムは、ムッシュ・ディオールと日本との関係を強調し、「東京を選んだ1番の理由は、ムッシュ・ディオールが日本と強い関係を持っていたから。彼は日本の文化を本当に愛していた。彼の作品には日本を意識したものが多くあり、日本のために多くのものをデザインした。僕自身も日本を愛しているから、それが過去とリンクしているからこそ、この場所だと思った。ここで大きなショーをするのは、僕たちがずっと抱いてきた夢だった」とショーへの思いを語った。

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