JR京都駅に隣接するジェイアール京都伊勢丹は5日、地下1階食品売り場をリニューアルオープンした。和洋菓子とパン、和洋酒の売り場を約2000平方メートル増床し、売場面積は従来の1.8倍に拡大。京都エリア最大級の食品売り場が誕生した。
三越伊勢丹グループの中でも同店は、食品の売り上げ比率が高い。ただ立地柄、観光客への依存度が高く、市内中心部以北の地元客を取り込めていなかった。「開業20周年を迎え、地元客にも愛される店を目指し、(繁華街の)四条界隈では扱っていないもの、これまで世の中になかった新しいものをそろえた」と同店の元木麻生バイヤーは話す。
コンセプトは「カルチャー・フーディ」。「京都と世界」「伝統と革新」をキーワードに、海外の本場の菓子の導入や同店でしか手に入らない限定商品、新ブランドの開発などに取り組み、食におけるグローカルストアをめざす。
新設売り場で扱うのは、洋菓子27、和菓子25、パン6、カフェ2の計60ブランド。うち日本初が2、京都初が17、京都エリアの百貨店初が17、新ブランドが16となる。旧JR大阪三越伊勢丹で展開していた独バームクーヘン「ホレンディッシェ・カカオシュトゥーベ(HOLLANDISCHE KAKAO-STUBE)」は、関西では2年ぶりの復活となる。
洋菓子売り場では、仏ロワール地方のサブレ発祥の町に本店を構える「ラ・サブレジエンヌ(LA SABLESIENNE)」が、海外初となる日本1号店を出店。ルイ14世の時代以来、伝統的なレシピを守り続け、発酵バター100%を使用して作った本場のサブレを美しいデザイン缶に詰めて販売する。地元客に受け入れられるよう、同店限定のオリジナル缶に詰めた商品や日本オリジナルのサブレケーキも展開。ホレンディッシェ・カカオシュトゥーベでも、丸久小山園の抹茶を使った抹茶バームクーヘンを限定販売する。
他店に比べて売上比率が高い和菓子売り場では、老舗が手がける現代風の和スイーツやフォトジェニックな和菓子を新たに投入。「京都観光の土産需要に応えるだけでなく、和菓子をあまり食べたことのない若年層にもアプローチしていく」(同店の佐伯博宣バイヤー)。京都の和装ブランド「ソウソウ(SOU・SOU)」と1864年創業の「伊藤軒」とのコラボで作られたベビーカステラのほか、国産の本蕨粉と季節の果物を使った「凛旬菓」のフルーツわらび餅など、SNS映えするスイーツが多い。
新たな試みとして、体験型のイートインや、ワイン、クラフトビールなどを試飲できるスペースを設けた。29席を備える「菓子のTASHINAMI」では、フロア内の店からバイヤーが選んだ和洋菓子とそれに合う日本茶やコーヒーを提供するほか、店内セミナーも開催する。「酒のTASHINAMI」(9席)では、京都の老舗料亭やホテルなどの酒肴とともに、バイヤーらが勧める旬の日本酒やワインを常時楽しめる。
同店では開業以来最大規模のリニューアルを計画。2019年以降は、2〜5階のファッションフロアの大改装にも着手する。