EC企業はホリデー商戦で莫大な売り上げをあげているが、喜ぶのはまだ早いだろう。クリスマスが終わる12月26日以降に、返品の山となる可能性が高いからだ。特にファッション業界は覚悟が必要かもしれない。小売りデータ分析会社ショッパートラック(SHOPPERTRACK)によれば、11月23日の「ブラックフライデー」にEC企業が記録的な売り上げとなった一方で、実店舗の客数は前年比1.7%減だった。つまり、試着してから購入した客が減ったということだ。アパレル製品の場合、サイズが合わないことは主な返品理由の一つである。試着なしで購入した客が増え、かつ時季的にプレゼント用にサイズを推測して購入された品も多いことを考えると、相当数の返品があると予想される。
小売り分析会社ネクステール(NEXTAIL)のホアキン・ビラルバ(Joaquin Villalba)最高経営責任者(CEO)は、「ホリデー商戦で売られた商品のうち、実店舗での返品率は8~10%程度だが、EC企業では30~40%になる可能性がある。特にトレンド商品は返品率が高い。なお、平時におけるEC企業の返品率はおよそ20%だ」と語る。
ECアパレル企業向けのフィッティング・テクノロジーを提供するボディブロックAI(BODYBLOCK AI)が、アメリカのオンライン買い物客1200人を対象に実施した調査によれば、対象者のうち91%はサイズが合わなかった経験があり、72%はそうした服を返品している。また、初回の買い物でサイズが不正確もしくは合っていない商品が届いた場合45%は二度とその店で買い物をしないと答えている他、37%は同じ商品をサイズ違いで購入して、合う物以外は返品するという。
ビラルバCEOは、「トレンドの服を手頃な価格帯で販売しているEC企業は、特に返品リスクが高い。詳細なサイズ情報やサイズガイドを掲載し、金額に応じて配送・返送料を変更するなどの工夫が必要だ。例えば、商品価値より返送料のほうが高い場合には、顧客には返金して商品の返送は必要ないとすれば、返送料の負担を軽減できる」とコメントした。