ファッション

新生「ボッテガ・ヴェネタ」がベールを脱いだ フィービー・ファイロの右腕が実力を発揮

 「ボッテガ・ヴェネタ(BOTTEGA VENETA)」が7月に新クリエイティブ・ディレクターに就任したダニエル・リー(Daniel Lee)による初めてのコレクション、2019年プレ・フォール・コレクションのルックをこのほど公開した。リーは、フィービー・ファイロ(Phoebe Philo)の「セリーヌ(CELINE)」でウエアのデザイン・ディレクターを務めていた人物だ。そのデビューコレクションの展示会が12月6日、8日のグランドオープン前の銀座の旗艦店で世界に先駆けて行われた。

ショーではなく展示会でなければならなかった理由

 ショーではなく展示会形式であることが重要だったようだ。その理由はプレスリリースに書かれていた。「何よりもまず『ボッテガ・ヴェネタ』のワードローブとは何かを明示することが重要だった。服そのものが持つセンシュアリティーにフォーカスし、一つ一つのアイテムはリアルな生活のためにデザインされている(中略)」――その言葉通り、レザーのドレス、トレンチコートやニットトップ、ツイードジャケット、ウールのコートジャケット、ライダースジャケット、レザーやナイロン製のスポーティーなブルゾンといった定番アイテムがラインアップされ、そこにリーの解釈がプラスされた。

 ウィメンズとメンズのワードローブには多くの共通点があり、互いに共鳴している。デザインポイントは、デコルテを強調するようなカッティング(背中を大きくカットしたものもある)、シャープなボックスシルエット、アイコンの“イントレチャート”の編み込みのディテール、グラフィカルな切り替えなどだ。加えて、「ボッテガ・ヴェネタ」を象徴するレザーが随所に用いられた。いずれもリラックス感がありながらフォーマル感も併せ持っている。

 細部に職人技が宿る控えめなラグジュアリーを提案する「ボッテガ・ヴェネタ」らしく、ロゴアイテムはない。ロゴの代わりになったのはブランドのアイコンである“イントレチャート”や“ノット(結び目)”のディテールだ。

バッグはマクロサイズの“イントレチャート”

 “イントレチャート”はプレタポルテのデザインアクセントとして、またハンドバッグではマクロサイズになって、その他ボックスクラッチやメンズのクラシックシューズ、ウィメンズのスクエアトーのパンプスなどに用いられた。“ノット”のディテールは、ニットやチェーンジュエリーで採用された。

 リーによる新生「ボッテガ・ヴェネタ」のステートメントとなる重要なコレクションは、リラックス感とフォーマル感が共存するリアルクローズで、職人技と遊び心がプラスしてブランドをモダナイズした。

 また、同コレクションはプレタポルテとシューズの高いポテンシャルが感じられる内容でもあった。現在「ボッテガ・ヴェネタ」の売り上げの多くは、バッグとレザーグッズが占めるが、今後、プレタポルテやシューズ、ジュエリーにも広がりそうだ。

 リーは、17年間同職を務めたトーマス・マイヤー(Tomas Maier)の後任として7月1日付で就任した。英国出身の32歳で、セント・マーチン美術大学(Central St. Martins)を卒業した後、「メゾン マルジェラ(MAISON MARGIELA)」「バレンシアガ(BALENCIAGA)」「ダナ キャラン ニューヨーク(DONNA KARAN NEW YORK)」などでキャリアを積んだ。直近では「セリーヌ」で、フィービー・ファイロの下でウエアのディレクターを務めていた。

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