2018年、国内外のファッション関係のパーティーやショー会場で最も目立っていた日本人といえば、AMIAYAだろう。“東京ポップ”を体現する双子のファッションアイコンとして、国内では以前からよく知られた存在だったが、今年は「H&M」と「モスキーノ(MOSCHINO)」のコラボレーションのワールドキャンペーンモデルに抜擢されたり、海外の媒体で取り上げられる機会が増えたりと、影響力が国外でも大きく拡大した。ファッション業界での存在感が、ぐっと“メジャー”になった印象だ。一体、彼女たちに何があったのか。AMIAYAに1年の振り返りと今後の抱負を聞いた。
WWDジャパン(以下、WWD):2018年はどんな年だった?
AMIAYA:2018年の春に、初めてミラノとパリのファッション・ウイークを見に行きました。ニューヨークはそれまでに行ったことがあったけど、ヨーロッパのファッション・ウイークは初めて。それをきっかけに海外での仕事も決まったし、チャンスが広がったと思います。私たちがやっていること自体は以前と変わらないけど、世界につながったという感覚です。世界に通用するファッションアイコンを目標にしてきたし、今後もそれを目指していくけど、そこに対してステップアップできた1年でした。ようやくスタート地点に立てた。
WWD:欧州のファッション・ウイークへの参加を決めたのはどんな経緯だった?
AMIAYA:ずっと行きたいと考えていましたが、お金も時間もかかることだからタイミングを見計らっていました。行くべきか迷っていた時期もあったけど、結果的に18年に行くことになってよかったと思う。2人でピンクの髪をおそろいにしていたから、それで注目された部分は大きい。髪をピンクにしたきっかけは、2年前の「ドルチェ&ガッバーナ(DOLCE & GABBANA)」のショーです。招待いただいて初めてミラノでショーを観ましたが、世界中からセレブリティーが集まっていたから、改めて自分たちの存在を見つめ直しました。「この中で人の目に留まるにはどうしたらいいんだろう?」「私たち2人にしかない魅力って何だろう?」って。帰りの飛行機の中で観た、ティム・バートン(Tim Burton)監督の映画で、双子が出てくる「ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち」もインスピレーション源になって、帰国後すぐに全く同じ髪色にしました。双子であることは私たちのチャームポイントだから、それを生かして“リアルファンタジー”な感じが出せればいいなと思ったんです。
WWD:海外を含めて多くの媒体やキャンペーンに登用された1年だったが、表現者としていつも何を伝えたいと思っているか。
AMIAYA:年齢などは関係なく、自由にファッションを楽しもうと伝えたい。海外ではピンクの髪をしていても珍しがられず、むしろスタイルがあると言われました。日本は“前へ倣え”の精神だからなかなか自由にファッションを楽しむというのが難しいけど、反骨精神みたいなものを言葉にせずとも自分たちのスタイルとして発信し、伝えたいと思っています。クリエイティブ・ディレクターを務めているブランド「ジュエティ(JOUETIE)」を通して伝えたいことも同じです。私たちの表現を見る人が、ファッション的な視点でそこから何か感じてもらえたら嬉しい。同時に、海外に行く機会が増えたことで、日本のストリートカルチャーのよさも改めて感じました。自分たちは、そういう日本らしさや日本のよさも大事にしていきたい。日本を背負ったファッションアイコンとして、世界で通用するようになりたい。
WWD:大きく飛躍した1年だったが、何が大切だったと思う?
AMIAYA:自分たちがどんな気持ちを持つかがすごく大事だと、改めて思いました。強い意志を持つとそれがスタイルや自分たちの作っている服に反映されるから、世の中にも伝わっていく。SNSの画面上で、温度のないコミュニケーションをすることが増えているからこそ、「こうなりたい」「これを伝えたい」といった熱い思いや信念を持って行動すると、それが伝わるんだと思う。欧州のコレクションを見に行こうと決めた時も、行くからには何かを残したい、何かをつかんで帰りたいと思っていました。
WWD:19年はどんな年にしたい?その延長上として、10年後はどんな風になっていたい?
AMIAYA:19年ももちろん海外のコレクションに行き続けます。毎シーズン積み重ねて、「あのピンクの双子はいつもファッション・ウイークにいるね」と、国内外の人に印象付けたい。ファッション・ウイークに行き続けられるように19年も頑張ります。そういう風にしてもっとたくさんの人に自分たちのことを知ってもらうことができたら、いつか日本のファッション業界に何かを還元したいと考えています。ファッションを通して、世の中を元気にするような活動ができたら。そうなれるよう、もっともっとパワーを付けたい。あと、大好きなティム・バートンの映画にもいつか出られたらって思っています(笑)