日本の下着ブランド「トゥート(TOOT)」は2019-20年秋冬ミラノ・メンズ・ファッション・ウイーク期間中の1月13日、現地でランウエイショーを開催する。同ブランドはこれまで、フィレンツェで開かれる世界最大級のメンズの展示会ピッティ・イマージネ・ウオモ(PITTI IMMAGINE UOMO)でコレクションを見せつつ、ランウエイショーは東京で開催。非公式のスケジュールながら、ミラノでショーを開くのは初めてだ。
枡野恵也トゥート社長は、ミラノメンズ進出の理由を3つ挙げる。まず1つは、「日本市場は縮小トレンドにあること」。枡野社長によると、「3000億円程度だった国内の男性下着市場は、20年で2500億円まで縮小したと言われている。一方の海外市場は、経済成長に伴い拡大していて、成長の余地が大きい」。同社はすでに台湾の百貨店「台北 誠品信義店」に常設店舗をオープン。香港やタイ・バンコク、シンガポールなどのアジアを中心に、ベルギー・ブリュッセルやカナダ・ケベックシティ、フランス・パリなどの海外店舗が商品を取り扱っている。
2つ目は、「ブランドのニッチな良さを失わないため」。「トゥート」はデザイン性とクオリティで、「知る人ぞ知るブランド」として成長してきたという。そこで「事業成長をマス市場に求めてユニークさを損なうのではなく、あくまでもモノづくりを受け継ぎたい」と話す。本場のファッション・ウイークに挑戦することで、デザイン性とクオリティが受け入れられるかを試し、進化させたい考えだ。
そして最後は、「その方が夢があるから」。日本初の男性下着がグローバルに成長できたら、「お客様も、取引先も、社員もワクワクできる」。
枡野社長は、東京大学法学部卒業後、06年にマッキンゼー・アンド・カンパニー(MCKINSEY AND COMPANY)に入社。経営コンサルタントを務めたあと、10年にはライフネット生命保険に参画した。15年4月から現職という異色の経歴の持ち主だ。