伊勢丹新宿本店は3日、2019年の初売りをスタートした。同店は、従来1月中旬に開催していたクリアランスセールを18年に4日からとし、今年はさらに一日前倒したことで、7年ぶりに初売りとの同時開始となった。店舗の各入口には、昨年の初売りと比べて1.4倍となる約1万人以上(開店時)が長い列を作った。予定を約20分前倒して9時40分に開店すると、店内はセール品や福袋を求める客でごった返した。
正面入口の列の先頭に付いた港区在住の20代の女性は、当日朝の5時半に到着。目当てはオンワード樫山の「ICB」の福袋という。子どもの頃から百貨店の初売りに参戦してきたが、昨年9月に引っ越したばかりで、東京の初売りは初参戦。後ろに伸びる長い列を振り返って「前に住んでいた大阪よりも、さらにすごい」と目を丸くした。
列の真ん中より後ろでやや出遅れた印象の練馬区在住の60代男性は、「朝7時に着いたが、車の中で寝てしまった」と悔やんだ。ネクタイを年10本以上、お気に入りの「エドワード・グリーン(EDWARD GREEN)」の靴を3、4年に一度新調するという長年の伊勢丹ファンだ。「初売りとクリアランスが同時開催になったのは良いと思う。時間を無駄にしないし、購買意欲も削がれない」と話した。
正面入口で客を出迎えた杉江俊彦・三越伊勢丹ホールディングス社長は、「初売りで一番大切なのはお客さまの安全の確保」と強調する。混雑緩和のため、今年は福袋を年末にECで受注する形に変えて、本館では在庫の約4割、メンズ館では在庫のほぼ全てをECで先行販売した。「初売りの日にクリアランスで買い物するのはお客さまにとって大きな楽しみ。かつての初売りは百貨店にとって1年間の中で売り上げの一つの核になる日だったが、消費環境は変化しており、今はお客さまにとってのイベントになっている。その期待に十分に応えていきたい」と話した。