ファッション

ティファニーがジュエリー業界を変える ダイヤモンドの原産地公開をスタート

 ティファニー(TIFFANY & CO.)は1月9日から、ダイヤモンドの原産地の情報公開をスタートさせた。0.18カラット以上の全てのダイヤモンドに、肉眼では見えないレーザー刻印の“T&Co”という独自のシリアルナンバーを施し、各ダイヤモンドの調達先情報を消費者に提供するというものだ。0.18はティファニーセッティングが可能なカラット数。通常、民間の機関の鑑定書にはない原産地の記載をティファニーオリジナルの鑑定書に宝石の特性と共に明記する。

 ティファニーの基準は、紛争と無関係なダイヤモンドであることを証明するキンバリー・プロセス認証よりも厳しく、同認証付きでも、アンゴラやジンバブエなど人権問題が懸念される国からは調達しない。また、責任ある資源調達が保証できたとしても原産地不明のダイヤモンドは一切使用しないとしている。

 同社は原産地の明記により、責任ある資源調達を行っていることを世界的に確約すると同時に、2020年までには個々のダイヤモンドのカットや研磨といった製造工程情報の公開も予定している。ティファニーが取り扱っているダイヤモンドの80~90%は、信頼できる採掘業者(主にボツワナ、カナダ、ナミビア、ロシア、南アフリカ)から調達した原石を自社工場(べルギーやボツワナ、モーリシャス、ベトナム、カンボジア)の職人が加工している。残りの10~20%はティファニーの調達保証基準を満たしたサプライヤーから入手した研磨済みダイヤモンドが占める。製造工程情報の公開が可能なのは、上記のように高い割合でダイヤモンドを自社工場で加工しているティファニーならではだ。

 アレッサンドロ・ボリオーロ(Alessandro Bogliolo)=ティファニー最高経営責任者は、「『ティファニー』のダイヤモンドには何一つ不透明なことがあってはならない。顧客は自分のダイヤモンドがどこで産出したのか、どのような流通を経て手元に届いたのかを知る権利がある」と述べている。

 このような情報公開は、ティファニーでは1999年以降ダイヤモンドの責任ある資源調達と製造工程に投資してきた成果であり、ティファニーという大手ジュエラーによるこの取り組みは、ジュエリー業界の新たな時代の幕開けを象徴していると言えよう。
 

[related post="677198" title="「ティファニー」の新作“ペーパーフラワー"は紙細工がアイデア"]

関連タグの最新記事

最新号紹介

WWDJAPAN Weekly

リーダーたちに聞く「最強のファッション ✕ DX」

「WWDJAPAN」11月18日号の特集は、毎年恒例の「DX特集」です。今回はDXの先進企業&キーパーソンたちに「リテール」「サプライチェーン」「AI」そして「中国」の4つのテーマで迫ります。「シーイン」「TEMU」などメガ越境EC企業の台頭する一方、1992年には世界一だった日本企業の競争力は直近では38位にまで後退。その理由は生産性の低さです。DXは多くの日本企業の経営者にとって待ったなしの課…

詳細/購入はこちら

CONNECT WITH US モーニングダイジェスト
最新の業界ニュースを毎朝解説

前日のダイジェスト、読むべき業界ニュースを記者が選定し、解説を添えて毎朝お届けします(月曜〜金曜の平日配信、祝日・年末年始を除く)。 記事のアクセスランキングや週刊誌「WWDJAPAN Weekly」最新号も確認できます。

@icloud.com/@me.com/@mac.com 以外のアドレスでご登録ください。 ご登録いただくと弊社のプライバシーポリシーに同意したことになります。 This site is protected by reCAPTCHA and the Google Privacy Policy and Terms of Service apply.

メルマガ会員の登録が完了しました。