「ガブリエラ ハースト(GABRIELA HEARST)」は、LVMHモエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY- LOUIS VUITTON以下、LVMH)が擁する投資ファンドのLVMHラグジュアリー・ベンチャーズ(LVMH LUXURY VENTURES)から出資を受けた。金額などの詳細は明らかにされていないが、資金はグローバルな展開をさらに推進するために使用される。
同ブランドは2015年に設立された。ニューヨークでコレクションを発表し、ウィメンズウエアやアクセサリーなどを販売している。売上高1000万ドル(約10億円)以上の黒字経営と見られており、18年にはニューヨーク・マディソンアベニューにあるザ・カーライル・ホテル内に旗艦店を、パリのモンテーニュ通りにあるアパートメントにショールームをオープンした。創業者のガブリエラ・ハーストは、16-17年度の「インターナショナル・ウールマーク・プライズ(INTERNATIONAL WOOLMARK PRIZE)」で優勝し、18年の「CFDAアワード(CFDA AWARDS)」ではウィメンズウエア・デザイナー・オブ・ザ・イヤーのファイナリストに選出されている。夫はハースト・コーポレーション創業者の孫であるジョン・オーガスティン・ハースト(John Augustine Hearst)。
製品はラグジュアリーとサステイナビリティーの両立を特徴としており、ガブリエラの家族が所有する牧場で生産されたウールなどの素材を使って丁寧に仕上げられている。顧客には、メーガン・マークル(Meghan Markle)=サセックス公爵夫人やレディー・ガガ(Lady Gaga)、デミ・ムーア(Demi Moore)などのセレブリティーも多い。製品はバーグドルフ・グッドマン(BERGDORF GOODMAN)やサックス・フィフス・アベニュー(SAKS FIFTH AVENUE)、セルフリッジ(SELFRIDGES)などの百貨店で販売されている他、ユークス ネッタポルテ グループ(YOOX NET-A-PORTER GROUP)が運営するラグジュアリーファッションECサイト「ネッタポルテ(NET-A-PORTE)」のようなオンラインストアでも取り扱われている。
LVMHラグジュアリー・ベンチャーズは、注目ブランドの少数株主となることに力を入れており、1件当たりの投資額は200万~1500万ユーロ(約2億4800万~18億6000万円)程度。「ガブリエラ ハースト」は3件目の投資だが、アパレルブランドが対象となったのはこれが初めてだ。過去には仏コスメブランドの「オフィシーヌ・ユニヴェルセル・ビュリー(L’OFFICINE UNIVERSELLE BULY)」と、スニーカーのリセールストア「スタジアム・グッズ(STADIUM GOODS)」に投資しており、「スタジアム・グッズ」は後にラグジュアリーECのファーフェッチ(FARFETCH)により買収された。